著者
小山田 建太
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.189-215, 2018-05-31 (Released:2019-06-20)
参考文献数
17

本稿の目的は,来所者を「就職に結びつける」必要性が増すサポステの事業変遷下において,その支援職員が持つ支援観をインタビュー調査から明らかにすることで,今日のサポステが提供しうる支援意義を考察することである. 調査の結果,支援職員が来所者との立場の非対称性を排し,来所者の主体性を重視する支援観を内面化している実態が明らかとなり,それは同事業の制度的側面と,支援職員の主観的側面との諸要因から導出されるものであった.またこの支援観を活用することで,支援職員は同事業の「評価基準とのせめぎ合い」から生まれる「葛藤」を“ 合理的” に解消することや,来所者自身の自己肯定感に基づいた「自己イメージ」や「自己理解」を「一緒に探す」ことが可能となることが理解された. そしてこの支援観より創出されるサポステの支援が,これまで多様な背景を持ちながら自尊心を育み切れず,その社会生活において自身の主体性に確信を持ち切れなかった若者にとって,自身の主体性を育み,社会的自立を実現していくための社会資源となりうることが確認された. 重ねて,サポステに来所する若者の自尊心を回復させることの必要性とその支援意義が,狭義の「就職に結びつける」必要性が増す事業変遷下においても強く想定されることが理解でき,来所者が自己肯定感を獲得していくプロセス自体が,その「効果的な事業実施」のもとで見出されるべき重要な観点となることが示唆された.

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