- 著者
-
池嶋 健一
- 出版者
- 一般社団法人 日本肝臓学会
- 雑誌
- 肝臓 (ISSN:04514203)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.7, pp.342-350, 2018-07-20 (Released:2018-07-27)
- 参考文献数
- 48
アルコール性肝障害はその初期像としての脂肪肝からアルコール性肝炎を繰り返して肝硬変へと進行するが,近年増加傾向が注目されている非ウイルス性肝硬変の成因の約半数を占めており,非ウイルス性肝癌の発生母地としても重要である.アルコール代謝酵素の遺伝子多型は飲酒習慣や依存形成に関与する一方,patatin-like phospholipase encoding 3(PNPLA3)などの遺伝子多型が脂肪肝形成から肝病態の進展に関わるリスク因子であることが明らかになっている.アルコール性肝障害の発症・進展には,アルコール代謝過程で生じる活性酸素種(ROS)などによる細胞障害に加えて,腸内細菌叢の変化(dysbiosis)とそれに対する自然免疫系の反応が主軸的な役割を演じていることが明らかにされつつある.