- 著者
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岸 政彦
- 出版者
- 関西社会学会
- 雑誌
- フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, pp.63-78, 2016 (Released:2017-06-20)
- 参考文献数
- 11
この論文では、沖縄社会の内部にある様々な亀裂や多様性について考える。社会学では、沖縄は、本土の都市と比べて、共同体規範が極めて強い社会として描かれてきた。沖縄社会は、インフォーマルな横のつながりによって構成される、「共同体社会」であると分析されてきた。しかし、本土の他の地域と同じように、沖縄社会の内部にもまた、多様性があり、たくさんの亀裂が存在している。現在、私を含めて4名の研究者で共同でおこなっている、「沖縄の階層格差と共同体」に関するフィールドワークを概説する。それは、沖縄社会に存在する階層格差を、質的なフィールドワークから詳細に描くことを目的としている。私たち4名によるフィールドワークの概要を述べ、そこから何が導き出せるかを考える。最後に、亀裂や多様性に注目することで共同性概念を相対化したあと、もういちど日本と沖縄との植民地主義的な関係について考えなければならないことを主張する。