著者
紅林 伸幸
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.174-188, 2007-06-29 (Released:2018-12-26)
被引用文献数
4

日本の教師集団は、学級王国的な教師文化とプライバタイゼーションの進行によって、プライベートな領域には踏み込まず、実践を主体的に交流させることには消極的であるという、日本特有の"限定的な同僚性"を発達させてきた。この同僚性は、主体的・自律的な学校運営を行うことが課題となっている現在の学校にとっては必ずしもプラスに機能するものではないが、個人としての教師にとっては居心地の良い場所を提供してくれる都合の良い同僚性である。それゆえに、その問題性が教師自身に自覚されないという問題の深刻さを抱えている。本稿では、学校臨床社会学の立場から日本の教師文化における同僚性の将来像を展望し、主体的・自律的な学校運営を基礎づける教師の同僚性のスタイルとして、医療現場で取り組みが始まっているチーム医療から《チーム》のアイデアを学ぶ。専門性を主要な要件とし、柔軟性を主要な構造特性としている《チーム》というスタイルは、100年を超える学校化の進展の中で《集団化主義》という独自の特性を身体化してきた日本の教師に、新しい協働の同僚性の可能性を開く。

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