著者
山澤 泰 高木 俊人 兼子 伸吾
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.179-184, 2023 (Released:2023-08-03)
参考文献数
29

モグラ類は地下適応を遂げてきた小型哺乳類であり,飼育研究で得られた繁殖に関する知見は少ない.本研究では,アズマモグラ(Mogera imaizumii)を対象に,飼育中に出産した母親とその仔3個体を用いて,先行研究で開発されたマイクロサテライトマーカーが,本種の個体識別や親子判定に利用可能か検証した.さらに父親の遺伝子型を推定し,交尾に関わったオスの個体数を明らかにするとともに,先行研究における山形県の3地点の野生集団の遺伝子型データを用いた再解析から,マーカーの個体識別率について評価した.その結果,12遺伝子座のマーカー中10遺伝子座で明瞭なピークが得られ,本研究で対象とした親子について,父親の遺伝子型を高い確率で推定でき,仔3個体の父親はオス1個体のみである可能性が示唆された.また先行研究における山形県の遺伝子型データの再解析から,これらマイクロサテライトマーカーを用いた個体識別や親子判定が可能であり,モグラ類における繁殖生態の解明への有用性が示された.

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アズマモグラの親子判定 ~アンダーグラウンドなモグラの交配事情を遺伝解析で解明へ~ 福島大学共生システム理工学類の高木俊人特任助教と、山形大学理学部 4 年の山澤泰氏らは、アズマモグラの繁殖生態について研究してきました。 [PDF] https://t.co/UtSrTq0OeY https://t.co/gOGFog5WzP

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