- 著者
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岸 恵美子
- 出版者
- 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
- 雑誌
- 廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, no.3, pp.194-199, 2017-05-31 (Released:2019-11-07)
- 参考文献数
- 24
- 被引用文献数
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いわゆる「ごみ屋敷」とは,ごみ集積所ではない建物で,ごみが積み重ねられた状態で放置された建物,もしくは土地を指す。居住者が自ら出したごみだけでなく,近隣のごみ集積所等からごみを積極的に運び込む「ため込み」の行為がある場合は,特に対応が困難である。いわゆる「ごみ屋敷」の人たちの多くは,セルフ・ネグレクトといわれる。筆者らは,文献検討と研究成果から,セルフ・ネグレクトを「健康,生命および社会生活の維持に必要な,個人衛生,住環境の衛生もしくは整備又は健康行動を放任・放棄していること」と定義した。支援者が対応に困難を感じる事例は多いが,実際には,本人が「困りごと」を抱えているのである。「支援を求める力が低下,あるいは欠如している人」ととらえ,ごみを片づけることを目標とするのではなく,信頼関係を構築し,本人の「自己決定」を尊重し,安全で健康な生活へと導くことが支援として重要である。