- 著者
-
武田 裕子
- 出版者
- 日本医学教育学会
- 雑誌
- 医学教育 (ISSN:03869644)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.5, pp.415-420, 2019-10-25 (Released:2020-05-18)
- 参考文献数
- 11
- 被引用文献数
-
5
医学生の卒業時の到達目標を示す「医学教育モデル・コア・カリキュラム」 (平成28年度改訂版) では, 初めて, 「社会構造と健康・疾病との関係 (健康の社会的決定要因 : SDH) を概説できる」という学修目標が設定された. 生活に困窮しているため外来受診を控える糖尿病患者, 抑うつ・自殺企図のリスクを抱える性的マイノリティの方々など, 社会の様々な状況・要素が「健康」に影響し健康格差の原因となっている. WHOはそれを「健康の社会的決定要因 (Social Determinants of Health : SDH) 」と呼び, 医療者に取り組みを求めている. 本稿では, 格差が広がるなか, SDHを医療者教育で取り上げる意義を概説し, 既存の講義や実習を活用して新たにSDH教育を導入する可能性について論じる.