著者
安川 康介 野村 恭子
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.315-319, 2012-08-25 (Released:2014-01-09)
参考文献数
9
被引用文献数
4

1)医師における性役割分担の実際について検討するため,都内某私立大学医学部同窓会に所属する医師を対象に,診療時間と家事労働時間に関する任意無記名の質問紙調査を実施した.2)週当たりの診療時間は男性の中央値が50時間,女性では40時間と女性の方が短いが,週当たりの家事労働時間は男性の中央値3時間に比べ女性は30時間であった.3)診療時間に家事労働時間を加えた労働時間は,男性医師よりも女性医師の方が長かった.4)本研究では,医師という専門職においても性別役割分担が存在していることが認められた.
著者
川根 博司 松島 敏春
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.379-383, 1998-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
13
被引用文献数
1

1996年度および1997年度に, 当大学の第5学年医学生における喫煙状況と学業成績の関係を調査した.喫煙状況の調査方法としては, 呼吸器内科に臨床実習のため回ってきた際に, 各班ごとに1人ひとりの喫煙習慣について聞き取りを行った.学業成績は第5学年までストレートに進級してきたか, 1回でも留年したことがあるかで評価した.1996年度, 1997年度の男子学生の喫煙率は, ストレート組でそれぞれ48.9%, 39.1%であるのに対して, 留年組では80.6%, 65.4%と有意に高かった.女子学生においても, 1996年度, 1997年度の喫煙率はストレート組がそれぞれ8.7%, 9.1%なのに, 留年組は25.0%, 37.5%と高率を示した.喫煙状況が学業成績に関係することが示唆される.わが国において, 医学生に対するアンチスモーキング教育をもっと積極的に進めていく必要がある.
著者
安川 康介 野村 恭子
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.275-283, 2014-08-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
66
被引用文献数
2

近年, 女性医師の勤務継続支援に関しては活発に議論されるようになってきたが,ジェンダー平等へ向けたより包括的な議論は不十分である.本稿では,日本の医学界におけるジェンダー不平等をめぐる現況について概観し,ジェンダー平等に向けた課題について考察する.医学界のジェンダー不平等の主な原因として,性役割分業を前提とした医師の長時間・不規則な勤務体制,女性医師の家庭と仕事の二重負担,女性に対する固定観念・偏見・差別等があげられる.女性であることが,医師として不利にならない労働環境を構築するために,ジェンダー平等へ向けた取組みが必要である.
著者
平 葉子 藤崎 和彦 今中 孝信
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.443-447, 2002-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
7
被引用文献数
1

天理よろづ相談所病院において初期研修病棟である総合病棟では, 日常の患者ケアの過程で初期研修医と看護師との間に衝突が起こりやすいという問題があった.この原因を明らかにするために, 卒後2年目の研修医12名にインタビューを行うとともに, 参加観察を並行して行った.これらのデータを含めて分析した結果, 衝突が生じやすい要因として以下の3つが分かった. 1) 研修医, 看護師ともに経験が浅いと, 自分の仕事に手一杯で余裕がなく, 相手の状況の大変さを理解できない. 2) 看護師は, 研修医が能力不足のために判断できず迷うような状況においても, 早く決断することを迫る傾向がある. 3) 医師は正確な診断をつけることを優先するのに対し, 看護師は患者の安楽を優先しようとする.
著者
拝野 貴之 相澤 好治
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.297-300, 2005-10-25 (Released:2011-02-07)

1) 予防医学の領域は, 極めて広いので後期研修として大学, 地域保健行政・厚生労働行政, 産業医・健康診断医を中心に述べる.2) 大学の衛生学・公衆衛生学教室においては, その教室の得意とする分野 (地域保健, 産業保健, 疫学専門, 中毒学など) を調べたほうよい.3) 厚生労働省医系技官の応募資格は原則として大学卒業後5年未満.地域保健ではプライマリな知識が要求される.4) 産業衛生では, フルタイムで働く専属産業医は推定2千人である.嘱託産業医として, さまざまな事業場を回るスタイルも新しい産業医の生き方である.5) 臨床医学とは異なり, 技術的事項よりも総合的な人間性が求められる本分野では, 自己啓発と強い動機付けが必要と考えられる.
著者
坂井 建雄 澤井 直 瀧澤 利行 福島 統 島田 和幸
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.337-346, 2010 (Released:2012-03-27)
参考文献数
19

要旨:1) 明治5年の学制から始まる医学教育制度と明治7年の医制から始まる医師資格付与制度の変遷をたどり,現在にまでいたる医学校の量的・質的な発展の過程を7つの時期に分けた.2) 明治初頭には従来開業の者にも申請により医師免許が認められた.医師免許を得るために医科大学ないし専門学校を卒業する途と開業試験に合格する途が大正期まで併存し,基準が不統一であった.3) 戦前の医学校は無試験で医師免許を得られる特典や,専門学校や大学への昇格を目指してきたが,帝国大学,医科大学,専門学校という異質なものを含んでおり,医学教育の水準は多様であった.4) 戦後に行われた医師国家試験の導入と新制大学の発足により,医学教育の質は均質化し,一定の質が保証されるようになった.5) 医学校の量的な拡大は,明治20年以前の変動期を除くと,大正8年からの12年間,昭和14年から終戦までの7年間,昭和45年からの10年間に集中しており,それ以外の時期では安定していた.
著者
川上 ちひろ 西城 卓也 丹羽 雅之 鈴木 康之 藤崎 和彦
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.301-306, 2016-10-25 (Released:2017-08-10)
参考文献数
9

医療系専門職養成機関において教務事務職員が学生対応で難しいと感じる事例について調査した. 公私立大学医学部・歯学部教務事務職員研修に2013年度から2015年度に参加した教務事務職員143名から得た185事例を分析した.事例は, 学生に問題があるものが多くを占め136事例 (73.5%) であった一方で, システムや教員に問題があるものも含まれた. 医療系専門職養成機関において適切に難しい場面に対応するために, 教員, 事務職員の協働は欠かせないものである.
著者
片岡 仁美 野村 恭子 川畑 智子 勅使川原 早苗 岩瀬 敏秀
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.365-375, 2014-10-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
20
被引用文献数
1

目的:女性医師の離職と復職及び育児休業の取得について現状を明らかにし,離職に影響を及ぼす要因について解析する.方法:岡山大学卒業生および同大学臨床系講座に入局した女性医師1403名に質問票を送付した.結果:回答者(n=420,回収率29.9%)のうち離職経験者は46.6% (n=191),離職時期は卒後10年以内が92.4%(n=171)であった.離職理由は「出産・育児」が51.5%(n=98),「夫の転勤」が21.1% (n=40)であった.初回離職時82%(n=151)が復職を希望していた.考察:柔軟な勤務体制の確立や育児休業の取得できる安定した勤務環境の整備がキャリア構築に重要である.
著者
錦織 宏
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.296-298, 2012-08-25 (Released:2014-01-09)
参考文献数
8
被引用文献数
2
著者
中島 昭 長田 明子 石原 慎 大槻 眞嗣 橋本 修二 小野 雄一郎 野村 隆英 松井 俊和
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.397-406, 2008-12-25 (Released:2011-05-24)
参考文献数
8
被引用文献数
1

藤田保健衛生大学医学部入試では, 全入学者の約30%を推薦入試により選抜している.推薦入試入学者の入学後の成績が適正であるかどうかを検証するために, 入学直後に実施した基礎学力を測定するプレースメントテストの成績と, 入学後の1, 2年次の欠席状況と成績との関連性を比較検討した.1) 平成14年から17年までの入学生398名を, 推薦入試入学者 (126名), および, 一般入試の成績の上位1/2入学者 (137名) と下位1/2入学者 (135名) の3群に分類して解析した.2) 入学時のプレースメントテストの成績 (基礎学力) は, 一般上位>一般下位>推薦の順であったが, 入学後の成績は1, 2年次共に, 一般上位>推薦>一般下位となった.3) 推薦入試入学者の1, 2年次欠席コマ数は, 一般入試上位・下位入学者よりも少ない傾向にあった.4) 2年次の成績は1年次の成績とよく相関し, また, 2年次の欠席コマ数は1年次の欠席コマ数とも強く相関した.5) 入学時の基礎学力だけでなく, 1年次での勉強の取り組み方が, その後の成績に影響する重要な要因であることが示唆された.
著者
丸井 英二
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.147-150, 2012-06-25 (Released:2014-01-09)
被引用文献数
1

公衆衛生(学)はpublic health を日本語に翻訳した用語であるが,日本語と英語の意味するところは必ずしも同一ではない.そこには歴史的背景によるズレがある.わが国の医学教育における公衆衛生学の位置づけは,むしろ基礎医学,臨床医学そして「社会医学(social medicine)」として,医学の一部として位置づけられることが望ましい.Public health としての公衆衛生学は医学と並行したかたちで独立した領域として,医学生のみならず広い対象について教育を行うことが,「公衆衛生大学院」において始まっていることは,今後への期待となる.
著者
北川 信一郎
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.227-235, 2013-08-25 (Released:2015-07-06)
参考文献数
30

目的 : 公衆衛生医師の経験学習に焦点をあて,その熟達化の過程を明らかにする.研究方法 : 10人のExpertを対象に,仮説探索型研究をおこなった.インタビューの分析には,グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた.結果 : 学生時代では,先輩医師から公衆衛生の重要性を,臨床医時代には,患者との関わりからプライマリ・ケアについて学んでいた.また,公衆衛生医師として,13の経験から11の教訓を学んでいた.  一方,公衆衛生マインドは,自己関連,患者関連,社会関連,組織関連の4つの信念のカテゴリーからなり,特に,社会関連の信念がコアとなっていた.結論 : 特有の経験学習が明らかとなった.熟達論および経験学習の観点から考察した.
著者
中村 千賀子
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.299-307, 2015-09-25 (Released:2017-03-03)
参考文献数
37

行動科学について, その起源, 大学設置基準の大綱化などから, 現在の医学教育におけるその意味や役割を考える. 現代の疾病構造をふまえ, 全人的医療を支える人間関係を視点として, 行動科学教育の基本的要素を整理し, ラボラトリー・トレーニングを利用した態度学習の具体例についても述べる.
著者
奈良 信雄 加藤 拓馬 大西 宏典 田極 春美
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.135-142, 2017-06-25 (Released:2018-07-05)
参考文献数
11

昨今, ハンガリーの医学部で教育を受け, 卒業後に日本の医師国家試験を受験して日本で医師になることを希望する日本人学生が増えている傾向にある. 彼らがわが国で国民の信頼に応えることのできる医学教育を受けているかどうかは重大な関心事である. そこで, ハンガリーにあるセンメルワイス大学医学部, デブレツェン大学医学部を訪問し, ハンガリーの医学教育システムを調査した. ハンガリーには4大学医学部があり, すべてが国立で, 4大学ともにハンガリー人を対象としたハンガリー語コース, 外国人向けに英語で教育するインターナショナルコース, さらに3大学ではドイツ語コースもある. 医学教育はほぼ他のEU諸国に共通するが, インターナショナルコースでは完全に英語による教育でグローバル化に対応している, 少人数グループでのチュートリアル教育が充実している, 口頭試験での評価がある, 卒業試験だけでなく卒業論文も課せられる, 等の特徴があり, わが国の医学教育に参考になる点も少なからず認められた.
著者
今福 輪太郎
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.053-060, 2019-02-25 (Released:2019-08-05)
参考文献数
41

医学教育研究は, 採用する理論的枠組みや理論的考察を記述することが国際的に求められてきている. 本稿では, その理論の選定や研究手法の決定の前段階にある「真実の在りか (存在論) 」「現実のとらえ方 (認識論) 」「現実へのアプローチの仕方 (方法論) 」といった哲学的前提の検討や研究パラダイムの明確化に焦点を絞り, そこからどのように体系的に研究をデザインしていけばいいのかを概説する. 「哲学的前提-研究パラダイム・理論-方法論-研究手法」の流れを意識することで, 研究計画に一貫性を持たせ, 分析結果から実践的な示唆だけでなく理論的な貢献ができるようになると考える.