著者
川根 博司 松島 敏春
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.379-383, 1998-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
13
被引用文献数
1

1996年度および1997年度に, 当大学の第5学年医学生における喫煙状況と学業成績の関係を調査した.喫煙状況の調査方法としては, 呼吸器内科に臨床実習のため回ってきた際に, 各班ごとに1人ひとりの喫煙習慣について聞き取りを行った.学業成績は第5学年までストレートに進級してきたか, 1回でも留年したことがあるかで評価した.1996年度, 1997年度の男子学生の喫煙率は, ストレート組でそれぞれ48.9%, 39.1%であるのに対して, 留年組では80.6%, 65.4%と有意に高かった.女子学生においても, 1996年度, 1997年度の喫煙率はストレート組がそれぞれ8.7%, 9.1%なのに, 留年組は25.0%, 37.5%と高率を示した.喫煙状況が学業成績に関係することが示唆される.わが国において, 医学生に対するアンチスモーキング教育をもっと積極的に進めていく必要がある.
著者
平 葉子 藤崎 和彦 今中 孝信
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.443-447, 2002-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
7
被引用文献数
1

天理よろづ相談所病院において初期研修病棟である総合病棟では, 日常の患者ケアの過程で初期研修医と看護師との間に衝突が起こりやすいという問題があった.この原因を明らかにするために, 卒後2年目の研修医12名にインタビューを行うとともに, 参加観察を並行して行った.これらのデータを含めて分析した結果, 衝突が生じやすい要因として以下の3つが分かった. 1) 研修医, 看護師ともに経験が浅いと, 自分の仕事に手一杯で余裕がなく, 相手の状況の大変さを理解できない. 2) 看護師は, 研修医が能力不足のために判断できず迷うような状況においても, 早く決断することを迫る傾向がある. 3) 医師は正確な診断をつけることを優先するのに対し, 看護師は患者の安楽を優先しようとする.
著者
坂井 建雄 澤井 直 瀧澤 利行 福島 統 島田 和幸
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.337-346, 2010 (Released:2012-03-27)
参考文献数
19

要旨:1) 明治5年の学制から始まる医学教育制度と明治7年の医制から始まる医師資格付与制度の変遷をたどり,現在にまでいたる医学校の量的・質的な発展の過程を7つの時期に分けた.2) 明治初頭には従来開業の者にも申請により医師免許が認められた.医師免許を得るために医科大学ないし専門学校を卒業する途と開業試験に合格する途が大正期まで併存し,基準が不統一であった.3) 戦前の医学校は無試験で医師免許を得られる特典や,専門学校や大学への昇格を目指してきたが,帝国大学,医科大学,専門学校という異質なものを含んでおり,医学教育の水準は多様であった.4) 戦後に行われた医師国家試験の導入と新制大学の発足により,医学教育の質は均質化し,一定の質が保証されるようになった.5) 医学校の量的な拡大は,明治20年以前の変動期を除くと,大正8年からの12年間,昭和14年から終戦までの7年間,昭和45年からの10年間に集中しており,それ以外の時期では安定していた.
著者
川上 ちひろ 西城 卓也 丹羽 雅之 鈴木 康之 藤崎 和彦
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.301-306, 2016-10-25 (Released:2017-08-10)
参考文献数
9

医療系専門職養成機関において教務事務職員が学生対応で難しいと感じる事例について調査した. 公私立大学医学部・歯学部教務事務職員研修に2013年度から2015年度に参加した教務事務職員143名から得た185事例を分析した.事例は, 学生に問題があるものが多くを占め136事例 (73.5%) であった一方で, システムや教員に問題があるものも含まれた. 医療系専門職養成機関において適切に難しい場面に対応するために, 教員, 事務職員の協働は欠かせないものである.
著者
安川 康介 野村 恭子
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.275-283, 2014-08-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
66
被引用文献数
2

近年, 女性医師の勤務継続支援に関しては活発に議論されるようになってきたが,ジェンダー平等へ向けたより包括的な議論は不十分である.本稿では,日本の医学界におけるジェンダー不平等をめぐる現況について概観し,ジェンダー平等に向けた課題について考察する.医学界のジェンダー不平等の主な原因として,性役割分業を前提とした医師の長時間・不規則な勤務体制,女性医師の家庭と仕事の二重負担,女性に対する固定観念・偏見・差別等があげられる.女性であることが,医師として不利にならない労働環境を構築するために,ジェンダー平等へ向けた取組みが必要である.
著者
片岡 仁美 野村 恭子 川畑 智子 勅使川原 早苗 岩瀬 敏秀
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.365-375, 2014-10-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
20
被引用文献数
1

目的:女性医師の離職と復職及び育児休業の取得について現状を明らかにし,離職に影響を及ぼす要因について解析する.方法:岡山大学卒業生および同大学臨床系講座に入局した女性医師1403名に質問票を送付した.結果:回答者(n=420,回収率29.9%)のうち離職経験者は46.6% (n=191),離職時期は卒後10年以内が92.4%(n=171)であった.離職理由は「出産・育児」が51.5%(n=98),「夫の転勤」が21.1% (n=40)であった.初回離職時82%(n=151)が復職を希望していた.考察:柔軟な勤務体制の確立や育児休業の取得できる安定した勤務環境の整備がキャリア構築に重要である.
著者
錦織 宏
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.296-298, 2012-08-25 (Released:2014-01-09)
参考文献数
8
被引用文献数
2
著者
北川 信一郎
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.227-235, 2013-08-25 (Released:2015-07-06)
参考文献数
30

目的 : 公衆衛生医師の経験学習に焦点をあて,その熟達化の過程を明らかにする.研究方法 : 10人のExpertを対象に,仮説探索型研究をおこなった.インタビューの分析には,グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた.結果 : 学生時代では,先輩医師から公衆衛生の重要性を,臨床医時代には,患者との関わりからプライマリ・ケアについて学んでいた.また,公衆衛生医師として,13の経験から11の教訓を学んでいた.  一方,公衆衛生マインドは,自己関連,患者関連,社会関連,組織関連の4つの信念のカテゴリーからなり,特に,社会関連の信念がコアとなっていた.結論 : 特有の経験学習が明らかとなった.熟達論および経験学習の観点から考察した.
著者
皆本 晃弥
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.89-96, 2016-04-25 (Released:2017-08-10)
参考文献数
10

2008年12月に出された中央教育審議会の答申「学士課程教育の構築に向けて」において, 教員の教育業績を多面的に評価するという観点からティーチング・ポートフォリオが取り上げられた. それ以降, 日本でもティーチング・ポートフォリオを作成する教員は年々増えており, 教育活動を可視化するツールとして, その有用性は認められている. しかしながら, 今のところティーチング・ポートフォリオは主に教育改善にのみ活用され, ティーチング・ポートフォリオによる教育業績評価についてはあまり議論されていない. そこで, 本稿ではティーチング・ポートフォリオを紹介するとともに, これを用いた教育業績評価方法について述べる.
著者
宮田 靖志
出版者
Japan Society for Medical Education
雑誌
医学教育 = Medical education (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.13-19, 2013-02-25

1)全国の医学生が製薬企業との接触行動をどの程度経験しているかを2012年に調査した.<br>2)全体で5,431名から回答が得られ,内訳は4年生1,755名,5年生2,222名,6年生1,454名であった.臨床実習前と後の学生数はそれぞれ,1,755名–0名,853名–1,369名,53名–1,401名であった.<br>3)文房具授受,製品説明パンフレット授受,製品説明会への出席,弁当飲食は,実習前20–37%,実習後95%以上の医学生が経験していた.懇親会への出席,タクシーチケットの授受は,実習前約10%,実習後約60%が経験しており,食事会・宴席への出席は,実習前約8%,実習後約40%が経験していた.<br>4)多くの医学生が製薬企業との接触行動を経験しており,その頻度は臨床実習参加後に有意に増加していた.
著者
小嶋 雅代 酒々井 眞澄 鈴木 匡 坡下 真大 早野 順一郎 村上 里奈 山本 美由紀 浅井 清文 浅井 大策 石川 大貴 木村 侑樹 明石 惠子 赤津 裕康 大原 弘隆 川出 義浩 木村 和哲
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.221-235, 2019

<p>背景 : 医療系学生による高齢者家庭訪問実習の初年度の教育効果の検証.</p><p>方法 : 実習に参加した医学部3年生5名, 高齢者5名によるフォーカスグループインタビューを基に自記式調査用紙を作成し, 医学部3年生, 高齢者の全参加者に調査協力を依頼した.</p><p>結果 : 学生84人と高齢者30人が協力に同意した. 学生の74%が「高齢者の暮らしぶりが分かった」と回答し, 高齢者の57%が「良い変化があった」と回答した. 93%の高齢者が本実習に満足だったのに対し, 学生の肯定的な意見は半数であった.</p><p>考察 : 学生が本実習に積極的に取り組むためには, 各自が明確な訪問への目的意識を持てるよう, 入念な事前準備の必要性が示された.</p>
著者
岡崎 史子 中村 真理子 福島 統
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.361-368, 2012-10-25 (Released:2014-01-09)
参考文献数
21

背景:J医科大学医学科3年生に実施している訪問看護同行実習で学生が何を学んでいるのかを明らかにする.方法:平成22年に行った本実習後に提出された実習報告書の記述を質的に分析し,実習の学びについてカテゴリーの抽出を行った.結果:コアカテゴリーとして(1)在宅医療の特徴,(2)患者,(3)家族,(4)訪問看護師,(5)チーム医療,(6)医師・医学生に対する生の声,(7)医師として大事なことが抽出された.(6)ではカテゴリーとして医師への不信感,医学生への期待の存在が抽出された.考察:本実習で医師として大切な様々な学びが得られ,特に医師への不信感,医学生への期待は訪問看護同行実習ならではの学びと思われる.
著者
中島 昭 長田 明子 石原 慎 大槻 眞嗣 橋本 修二 小野 雄一郎 野村 隆英 松井 俊和
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.397-406, 2008-12-25 (Released:2011-05-24)
参考文献数
8
被引用文献数
1

藤田保健衛生大学医学部入試では, 全入学者の約30%を推薦入試により選抜している.推薦入試入学者の入学後の成績が適正であるかどうかを検証するために, 入学直後に実施した基礎学力を測定するプレースメントテストの成績と, 入学後の1, 2年次の欠席状況と成績との関連性を比較検討した.1) 平成14年から17年までの入学生398名を, 推薦入試入学者 (126名), および, 一般入試の成績の上位1/2入学者 (137名) と下位1/2入学者 (135名) の3群に分類して解析した.2) 入学時のプレースメントテストの成績 (基礎学力) は, 一般上位>一般下位>推薦の順であったが, 入学後の成績は1, 2年次共に, 一般上位>推薦>一般下位となった.3) 推薦入試入学者の1, 2年次欠席コマ数は, 一般入試上位・下位入学者よりも少ない傾向にあった.4) 2年次の成績は1年次の成績とよく相関し, また, 2年次の欠席コマ数は1年次の欠席コマ数とも強く相関した.5) 入学時の基礎学力だけでなく, 1年次での勉強の取り組み方が, その後の成績に影響する重要な要因であることが示唆された.
著者
奈良 信雄 鈴木 利哉
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.193-200, 2014-06-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
12
被引用文献数
2

ドイツでは2003年に発効された「医師免許に関する規制法:Approbationsordung: AppOÄ」を契機に医学教育が大きく改革された.基本的には37校で同じカリキュラムに基づき教育されているが,昨今の医学の進歩や医療事情を鑑み,学際領域教育や臨床実習に重点を置いているなどに特色がある.医師国家試験は基礎医学履修後の2年終了時と,5年終了時の筆記試験と6年終了時の口頭試験が行われている.日本が医学教育を導入したドイツにおける医学教育改革は,わが国にとっても大いに参考になる.
著者
木村 琢磨 前野 哲博 小崎 真規子 大滝 純司 松村 真司 尾藤 誠司 青木 誠
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.383-389, 2007-12-25 (Released:2011-02-07)
参考文献数
15

欧米では, 研修医のストレスは燃え尽き症候群や抑うつの原因となり, 研修プログラムからの脱落や非倫理的な診療などにつながると報告され, ストレス要因への対策がなされている.最近わが国でも, 研修医の過酷な労働条件や過労死などが問題となっているが, わが国における研修医のストレス要因を検討した報告は少ない.1) 10施設の研修医25人を対象に, フォーカス・グループ・インタビューを実施し, わが国における研修医のストレス要因を探索した.2) 研修医のストレス要因として, 一人の人間としてのストレス要因, 新米社会人としてのストレス要因, 未熟な研修中の医師としてのストレス要因の3つを抽出した.3) 3つのストレス要因をそれぞれ生活ギャップ, 社会人ギャップ, プロフェッション・ギャップと名づけ, 研修医のストレス要因を, 医学生時代と医療現場とのギャップがもたらす産物として描出した.4) わが国の研修医の様々なストレス要因が明らかになったが, 研修中の未熟な医師としてのストレス要因は, わが国特有であった.5) 安全で効果的な研修を行うために, これらのストレス要因を考慮した研修医のストレスへの対策が望まれる.