著者
佐藤 徹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.2, pp.234-242, 2018-02-10 (Released:2019-02-10)
参考文献数
10

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)は,血栓/塞栓が肺動脈の亜区域枝付近より中枢に形成され,器質化して狭窄,閉塞を起こし,肺高血圧を来たす疾患である.第4群の肺高血圧症に分類され,最も予後良好で症状等の著明な改善が得られる.急性肺塞栓症の既往があって本疾患へ発展する場合と,慢性のPHとして見つかり,鑑別診断でCTEPHと診断される症例がある.現在では,画像診断の進歩によって,ほとんどの症例が適切に確定診断される.治療法としては,1990年代後半から2010年頃までは手術療法が主体であった.2010年頃以降,バルーン肺動脈形成術(balloon pulmonary angioplasty:BPA)が日本で発展し,ほぼ同様の効果が得られるようになった.数年前には内服薬のリオシグアトが開発され,前2者には劣るが一定の効果が得られるようになった.

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