著者
佐藤 徹
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.26, no.164, pp.193-206, 1987 (Released:2021-09-21)

Archimedes gave geometrical demonstrations to find the volume of a sphere and the ellipsoids of revolution in totally different ways, although both lead to the same integral,∫[2a,0]x (2a — x)dx. Nicolas Bourbaki -a group of French mathematicians-state their views on why Archimedes had no concept of integral calculus as follows: "Might it not be that Archimedes regarded such a standpoint as extreme 'abstraction,'and dared to concentrate on studying characteristic properties of each figure he was working on ?" Certainly there is something in what Nicolas Bourbaki say. However, their views do not answer fully the question To the solution of this difficult problem, in my opinion, an important clue can be found by considering Archimedes' scholastic career in chronological order. It was not until Archimedes wrote On Spirals in his late forties or early fifties that he could work out the summing of the series 1²+2²+…n². In his later work On Conoids and Spheroids Archimedes could obtain for the first time the sum of a series ∑Xk(2a—Xk), necessary to give geometrical proofs about the volume of the ellipsoids of revolution However,it was difficult for Archimedes,in writing On the Sphere and Cylinder I, to obtain the sum. Therefore, he proved the theorem about the volume of a sphere in a way not making use of such summation When the same integral appeared, Archimedes could not notice the internal connection unifying them. This may be because, for one thing, he excluded from geometry, due to their mechanical nature, the discussions using indivisibles found in The Method which could have been a clue toward noticing the internal connection. Secondly, obtaining the sum of a series was not a simple matter to Archimedes who lacked the necessary algebraic symbols.
著者
佐藤 徹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.2, pp.234-242, 2018-02-10 (Released:2019-02-10)
参考文献数
10

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)は,血栓/塞栓が肺動脈の亜区域枝付近より中枢に形成され,器質化して狭窄,閉塞を起こし,肺高血圧を来たす疾患である.第4群の肺高血圧症に分類され,最も予後良好で症状等の著明な改善が得られる.急性肺塞栓症の既往があって本疾患へ発展する場合と,慢性のPHとして見つかり,鑑別診断でCTEPHと診断される症例がある.現在では,画像診断の進歩によって,ほとんどの症例が適切に確定診断される.治療法としては,1990年代後半から2010年頃までは手術療法が主体であった.2010年頃以降,バルーン肺動脈形成術(balloon pulmonary angioplasty:BPA)が日本で発展し,ほぼ同様の効果が得られるようになった.数年前には内服薬のリオシグアトが開発され,前2者には劣るが一定の効果が得られるようになった.
著者
古賀 政利 井上 学 園田 和隆 田中 寛大 塩澤 真之 岡田 敬史 池之内 初 福田 哲也 佐藤 徹 猪原 匡史 板橋 亮 工藤 與亮 山上 宏 豊田 一則
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10776, (Released:2020-03-30)
参考文献数
46
被引用文献数
3 1

要旨:脳梗塞の診断にはCT もしくはMRI による画像評価が必須である.再開通療法の可能性があれば速やかに最低限必要な画像評価で再灌流療法の適応を決定することが重要である.2018 年に改訂された米国のガイドラインでは,来院から20 分以内に画像診断を行うことが推奨されたが,わが国のガイドラインには画像診断までの時間の推奨はない.わが国では普及率が高いMRI で急性期脳梗塞を評価している施設が多い.機械的血栓回収療法の適応判定には脳実質の評価に引き続き速やかな頭頸部血管評価が必要である.米国では発症6 時間超の脳梗塞に対してCT もしくはMRI を使用した脳虚血コア体積や灌流異常の評価による機械的血栓回収療法の適応を推奨しているが,わが国では灌流画像評価や迅速解析に対応した自動画像解析ソフトウェアが普及していない.急性期脳梗塞に対する適切な再灌流療法を行うための,わが国の医療環境にあわせた画像診断指針が必要であろう.
著者
高杉 叡生 佐藤 徹治 竹間 美夏
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1341-1347, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1

近年、日本の多くの都市では人口減少を見据えたコンパクトなまちづくりの一環として、LRTやBRTを導入、または導入を検討している。本稿では、LRT・BRTの特徴・違いを踏まえたこれらの整備による都市内人口分布への将来時系列の影響の分析手法、それと理論整合的な便益計測手法を示した。さらに、群馬県前橋市におけるケーススタディを実施し、新たな都市交通を整備しない場合、LRTを整備した場合、BRTを整備した場合の2040年までの都市内人口分布を推計し、LRT整備・BRT整備による人口分布への影響、帰着便益の分布、都市全体の便益の比較を行った。分析の結果、LRT整備の便益はBRT整備の便益を概ねすべてのゾーンで上回ること、LRT整備、BRT整備のケースともに沿線ゾーン以外においては整備がない場合と比較して人口は減少するものの正の帰着便益が生じることなどが示唆された。
著者
西間木 彩子 三輪 陽介 鈴木 亮 桑原 彩子 横山 健一 佐藤 範英 高山 信之 坂田 好美 池田 隆徳 佐藤 徹 吉野 秀朗
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.1550-1554, 2011 (Released:2013-02-21)
参考文献数
15

特発性好酸球増多症候群(idiopathic hypereosinophilic syndrome; IHES)は, 全身臓器に好酸球浸潤を伴う疾患であり, レフレル心内膜炎合併は心不全の増悪や心筋症様変化を伴い予後不良である. われわれは, 心臓MRIで治療効果を評価し得たレフレル心内膜炎合併HESの1例を経験した. 症例は33歳, 男性. 紅斑, 下痢, 末梢神経障害を主訴に来院した. 来院時, 好酸球の増加が認められた. 入院時の心電図で前胸部誘導のR波が減高していた. 心臓MRIで左室壁運動障害と心筋中層から内膜側にかけて, 遅延造影像が認められ, 心筋生検で好酸球の浸潤が確認されたため, レフレル心内膜炎と診断された. 各種検査でIHESに起因して発症したと判断され, プレドニゾロン(predonisolone; PSL)の投与が開始された. 心臓MRIで遅延造影効果が強くみられた心室中隔基部で壁運動の低下が残存し, 淡く認められた部位や造影効果のない部位は壁運動低下が改善傾向であった. レフレル心内膜炎の心臓MRIに関する報告は散見されるが, 遅延造影効果についての報告はほとんどなく, 心臓MRIの遅延造影が心機能予後予測や治療効果判定に有用である可能性が示唆された, 興味ある症例と考えられたので報告する.
著者
佐藤 徹 松峯 敬夫 西田 広一郎 松尾 聰 福留 厚
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.2478-2482, 1990

Peutz-Jeghers症候群の重要な合併症として腸重積があるが,今回われわれは腸重積を繰返し,4回目の開腹術を施行した1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する. <BR>症例は39歳男性で15歳時にPeutz-Jephers症候群と診断されて以来,計3回の開腹術の既往があった,今回イレウスの診断にて転院となり精査にて腸重積を疑い緊急手術を施行したところ,小腸ポリープを先進部とした腸重積に加えて軸方向360度の捻転を認め,絞扼性イレウスと診断,90cmの小腸切除術を施行した.他に十二指腸水平脚に巨大なPolypを認めたが,術後内視鏡的にポリペクトミー施行し,経過良好である.PeutzJeghers症候群は本症例の如く腸重積を繰返す場合がある.特に,多次手術例ではその術前診断に苦慮することがあり,定期的なfollow upと適確かつ迅速な手術適応の判断が必要である.
著者
岡崎 敏昌 塩野 知志 安孫子 正美 佐藤 徹
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.589-593, 2013-07-15 (Released:2013-07-29)
参考文献数
22

症例は78歳男性.2004年8月前立腺癌経過観察中のCTで前縦隔腫瘍を指摘された.胸部X線で右肺門部に突出する腫瘤影,CTで前縦隔に60×28 mmの石灰化を伴う腫瘤を認め,超音波ガイド下針生検を施行した.胸腺腫との診断が得られ,胸腺摘出術を施行した.術後病理は胸腺腫WHO type ABで正岡II期であった.2008年7月から右前胸部に3 cmの硬い無痛性腫瘤が出現した.CTでは前胸壁に45×15 mmの腫瘤であった.胸腺腫の胸壁再発を疑い腫瘍摘出術を施行し,術中迅速で胸腺腫再発と診断した.術後断端陽性であったため放射線治療60 Gyを追加した.現在明らかな再発を認めていない.針生検による穿刺経路播種をきたした胸腺腫の1例を経験したので報告する.
著者
金丸 英樹 佐藤 徹 菅田 真生 石井 大造 丸山 大輔 林 正孝 濱野 栄佳 井手口 稔 片岡 大治 高橋 淳
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
Journal of Neuroendovascular Therapy (ISSN:18824072)
巻号頁・発行日
pp.jnet.oa.2015-0039, (Released:2015-10-02)
参考文献数
11
被引用文献数
4 1

要旨: 【目的】近年脳血管内治療は普及の一途をとげているが,病変へのアクセス時に,ガイディングカテーテル(GC)を母血管に干渉せず留置できるかどうかは治療の成否に関与する重要な因子の一つである.そこで,GC を留置する際に機械的血管攣縮(mechanical vasospasm; mVS)を惹起する因子について検討した.【方法】対象は2012 年8 月1 日より2014 年7 月31 日までの2 年間に未破裂脳動脈瘤に対しコイル塞栓術を施行した連続64 例とし後方視的に検討した.mVS の定義として,GC を留置した母血管径が25%以上狭小化するものとした.【結果】mVS は24 例(38%)に認め,そのうちGC のサイズ変更を要したものは5 例,その他の症例では先端位置を変えることで攣縮所見は全例軽快した.mVS と関連する因子として,より年齢が若いこと(p<0.001),女性(p=0.03),高血圧でないもの(p=0.03)を認めた.Body Mass Index,Adjunctive technique の有無,治療後のDWI 高信号域の有無,治療時間,部位(ICA/VA),抗血小板療法(Single/Dual)は関連を認めなかった.【結論】より年齢の若い症例,女性,高血圧のない症例では機械的血管攣縮を引き起こしやすいと考えられる.
著者
佐藤 徹 松峯 敬夫 西田 広一郎 松尾 聰 福留 厚
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.2478-2482, 1990-11-25 (Released:2009-04-21)
参考文献数
8

Peutz-Jeghers症候群の重要な合併症として腸重積があるが,今回われわれは腸重積を繰返し,4回目の開腹術を施行した1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する. 症例は39歳男性で15歳時にPeutz-Jephers症候群と診断されて以来,計3回の開腹術の既往があった,今回イレウスの診断にて転院となり精査にて腸重積を疑い緊急手術を施行したところ,小腸ポリープを先進部とした腸重積に加えて軸方向360度の捻転を認め,絞扼性イレウスと診断,90cmの小腸切除術を施行した.他に十二指腸水平脚に巨大なPolypを認めたが,術後内視鏡的にポリペクトミー施行し,経過良好である.PeutzJeghers症候群は本症例の如く腸重積を繰返す場合がある.特に,多次手術例ではその術前診断に苦慮することがあり,定期的なfollow upと適確かつ迅速な手術適応の判断が必要である.
著者
佐藤 徹 加藤 絵万 川端 雄一郎 岡﨑 慎一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_552-I_557, 2014 (Released:2014-10-01)
参考文献数
3
被引用文献数
2 9

港湾施設の点検診断については,施設の設置環境等から目視に頼らざるを得ない部分が多く,港湾利用の制約を伴う機器を使用した点検調査については,あまり実施されてこなかった.しかしながら,高齢化した社会資本の安全性確保や,的確な点検実施など維持管理の重要性の高まりなどを背景として,昨年,老朽化した港湾施設を主対象に,全国的な点検調査が実施された.この調査においては,はじめて全国規模で地中レーダを用いた係留施設の空洞化調査が実施された.本報告では,係留施設を対象に実施された空洞化調査の結果について整理し,空洞化と目視により判定されたエプロン舗装等の劣化度の関係等についてとりまとめた.また,これらの分析を踏まえて,係留施設に発生する空洞化に対して今後対応すべき事項等について考察した.
著者
佐藤 徹治 原 祐樹 名越 綾香
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.561-568, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

本稿では、全国の立地適正化計画を作成・公表済みの自治体に対するアンケート調査から計画に基づく具体的な人口誘導施策の検討・実施の有無、内容等を把握するとともに、立地適正化計画制度ができる以前の2005年から都心部等への人口誘導施策を実施してきた富山市を対象として、傾向スコアマッチングと差分の差分法を組み合わせたDID-PSMにより施策の人口誘導効果を統計的に検証した。アンケート調査結果から、誘導区域内に人口を誘導する施策を検討している都市は3割程度であること、誘導区域外に対する施策を検討している都市は少ないこと、現時点で実際に人口誘導施策を実施している都市は極めて少なく全国で10都市程度に留まることなどが明らかとなった。また、DID-PSMによる分析結果から、富山市の施策は実施後14年間経ても統計的に有意な人口誘導効果をもたらしていないことが示された。また、アンケート調査結果と検証結果を踏まえて、今後の居住誘導施策の方向性について考察した。
著者
佐藤 徹
出版者
日本スポーツ運動学会
雑誌
スポーツ運動学研究 (ISSN:24345636)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.17-31, 2007 (Released:2020-05-08)
参考文献数
32

Das "Sich-Bewegen" beim Menschen vollzieht sich in Begleitung verschiedener Bewusstseinsinhalte wie die Absicht des Verhaltens, die Beurteilung der Situation, das Voraussehen der Reaktion des Gegenübers oder die Reflexion über die Bewegung selbst u.a.  Darüber hinaus können wir Menschen, im Unterschied zu den Tieren, unser Bewusstsein auf unsere eigene Bewegung richten. Deshalb können wir auf der Basis unseres eigenen Bewusstseinsinhaltes eine erfolgreiche Bewegungsform an andere weitergeben.  Die ganze Vielfältigkeit unserer Bewegungen erfolgt dennoch nicht immer unter der vollen Kontrolle unseres Bewusstsein. Man hat von vornherein keine bewusste Vorstellung davon, wie man sich bewegt. Aber selbst wenn man schon in einer Bewegung geübt ist, fehlt einem nicht selten das sogenannte „Kinästhetische Bewusstsein“ seiner eigenen Bewegungsweise; eben weil die Bewegung schon Gewohnheit geworden ist und deshalb das Ausführungsgefühl unter die Grenze des Bewusstsein absinkt. KANEKO nennt das die " kinästhetische Anonymität".  Es handelt sich bei dieser Arbeit um die Bedeutung des Bewusstmachens der passiven Kinästhese im Sinne von HUSSERL, die unbewussterweise funktioniert, und um die Methodik dazu. Dabei wurde "Abbauen", das HUSSERL als Methode der genetische Phänomenologie befürwortete, angewendet.  Bei dieser Betrachtung wurde der Fall vom Unterarmpass - gemeint ist das "Baggern" im Volleyball- angeführt, bei dem das kinästhetische Bewusstsein des Lehrers fehlt und deshalb Bewegungskorrekturen nur aus Anweisungen der von außen sichtbaren Bewegungsmerkmale bestehen können.