- 著者
-
中山 哲夫
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.98, no.1, pp.159-166, 2009 (Released:2012-08-02)
- 参考文献数
- 16
麻疹ウイルスが分離されて50数年経過し分子生物学の進歩により麻疹ウイルス感染の分子機構が解明されつつある.麻疹ウイルスに感受性の高いB95a細胞が発見され野生株の分離が容易になり麻疹ウイルスreceptorがSLAM(signaling lymphocytic activation molecule;SLAM)であること,細胞融合,転写・複製機構の解明が進んできた.ワクチン接種の拡大により麻疹はコントロールされてきているが,我が国においては2007年に成人麻疹の増加が社会問題となり2008年からはCatch-up campaignが中学1年生,高校3年生を対象に始まり2012年麻疹排除を目指している.麻疹ウイルスの最近の知見と病態の解析,分子疫学等の知見を紹介する.