著者
中岡 秀男
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.1553-1563, 1960-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20

異なった体位において肺の換気動態がいかなる差異を示すかについて,肺圧縮率(肺compliance)と機械的抵抗を各体位において測定して,観察し,起坐呼吸の発生機構を追求する一助とした.健常者,肺疾患々者および心疾患々者の3群について坐位,右側臥位,左側臥位および背臥位において測定した結果は,いずれの疾患群も坐位でcompliance最も大,機械的抵抗最も小であつた.臥位への体位変換によるcomplianceの低下度は各疾患群に大差がみられなかったが,機械的抵抗は,肺疾患群でその増加が最も大であり,しかも左側に比し右側臥位における方が,また心疾患群では右側に比し左側臥位の方がより大なる傾向がみられる.これらの結果と,心不全患者に最も強く現われる起坐呼吸ならびにしばしば右側偏側臥呼吸(trepopnea)のみられる事実とを関連させて発生機構について檢討した.

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