著者
橋本 浩三
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.86, no.12, pp.2320-2325, 1997-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
18

自己免疫性視床下部・下垂体疾患としては,現状ではリンパ球性下垂体(前葉)炎やリンパ球性漏斗神経葉炎があげられる.リンパ球性下垂体炎は女性に多く,約6割が妊娠中や分娩後に発症する.橋本病,自己免疫性副腎炎, IDDMなどの他の自己免疫姓疾患を合併することが多く,抗甲状線抗体,抗下垂体抗体陽性例も多い.組織学的には下垂体前葉にCD4陽性のTリンパ球や形質細胞の浸潤,線維化,下垂体の破壊像が見られる.リンパ球性漏斗神経葉炎では,自己免疫性炎症が漏斗後葉系に生じ,尿崩症の原因になっている. ACTH単独欠損症の原因は単一ではないが,自己免疫疾患の合併が多く,抗下垂体抗体の陽性例も多いことより,自己免疫性の下垂体炎がかなりの例で原因になっていると推定されている.抗下垂体抗体の測定は,これらの疾患の診断の参考になるが,現状ではその方法や意義にまだ問題が残されている.

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