著者
谷 圭祐
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.2_200-2_223, 2018 (Released:2021-12-26)
参考文献数
43

政党やその執行部は, 与党からの転落や政党の消滅につながる, 所属議員の離党をどのように防いでいるのだろうか。先行研究は, 政党間移動を専ら議員が所属政党を選択する結果ととらえ, 議員の誘因の観点から説明を行ってきた。 これに対して本稿は, 政党執行部が政党間移動に対し戦略的に対応していることを主張する。この戦略的行動とは, 政党にとって価値の高い議員に対して, 資源配分による 「補償」 を行い慰留するものである。 実証分析では2011 ~ 12年に発生した民主党分裂を扱った。分析の結果, 議員と首相との政策選好の乖離が離党行動に与える効果は, 選挙区での政党への支持の大きさに条件づけられていた。すなわち, 政党への支持が小さい選挙区の議員ほど, より政党の議席拡大にとって重要であるため, 政策選好の乖離が離党行動に結び付きにくくなっていた。さらに, 政策選好の乖離が, 大臣ポストの配分に与える負の効果についてもこの交互作用があり, 政党からの資源配分による補償も確認できた。党内統治が失敗したとされる民主党において本稿の理論が実証されたことは, より一般的に政党間移動に対して執行部が主体的に行動していることを示唆する。

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@monozukuriman 平素貴発信に共感する者ですが, 政党間移動 https://t.co/kf4ib2jLk9 については見解を異にします 裏切ったのが,候補者側か政党側か,立場によって,見方が変るかもしれません 自民党が変質すれば,よりマシな維新を択ぶのは,民意をどう読むかにかかっているように思われます https://t.co/VyRBoAgMGt

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