著者
李 勇華
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.47-60, 2014-08-10 (Released:2019-08-30)

「言語論的転回」以後、書かれたものならば、なんでもエクリチュールとされるので、「近代小説のエクリチュール」という表現はトートロジーではないか。また、「作者の死」が宣告されたので、主体のことが語りうるのかと言われるが、その通りである。しかしそれはポストモダンの文学研究の枠組みであり、それを超えるには、主体のあらためての召還、他者を認め、自己否定を内包する書く行為のある近代小説が求められる。それが田中実の〈近代小説〉の特徴である。それを明らかにするために、本稿ではバルトの書こうとする「小説」と絡めて、安藤宏の〈表現機構〉と田中実の〈第三項〉を比較してみたい。

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