著者
堀川 宗一郎
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.34-18, 2015-10-01 (Released:2017-07-28)

これまで、芸術的要素を含む写本資料においては、多くの表記研究が為されてきた。その一方で、消息・文書といった実用的な資料を対象とした表記研究は、あまり蓄積されてこなかったように思われる。そこで、鎌倉遺文所収の仮名文書を採り上げ、「とん」の表記に着目し、実用的な書記実態の一端を明らかにする。鎌倉遺文における「ん」は、撥音・促音の表記の他、モの異体字としても使用される。「ん」がモの異体字として使用されるのは、「とん」という文字連続に限定され、必ず連綿で表記されることで、「ん」がモの異体字だと判読できる。また、連綿で表記された「とん」という文字連続は、必ずしも語や文節など意味とは対応しない。これを「固定的連綿」と呼ぶ。「固定的連綿」は「とん」以外の文字連続にも認められ、書記者の居住地域や性別・身分に左右されない、鎌倉時代における書記法の一つと捉えられる。

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堀川 宗一郎 鎌倉時代における仮名文書の「とん」 : 固定的連綿 https://t.co/iEIzIqdVDw
「歴史言語学の射程」の かねころんぶん、林和比古「助詞ドンについて」お あげて ドンお ほーげんだと してたけど、ほりかわろんぶん https://t.co/Kvl9CmwAWh が でた あとでも それで いーのかな。すずきろんぶん、いろはうたも 源為憲の さくだと ゆー。

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