著者
斎藤 智夫 野口 順蔵
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.469-471, 1961-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10
被引用文献数
6

D-グルコースを冷濃硫酸に溶解し,オキシ塩化リンと反応させたのち,反応液を冷工一テルに注入する。沈殿は結晶として得られる。この沈殿を水酸化バリウムで処理してD-グルコース-6-リン酸バリウム(mp157℃(分解))が理論の90%の収率で得られた。水酸化バリウムで遊離硫酸イオンのみを除けば,ビス-D-グルコース6,6´リン酸が得られ,これは等mo1の炭酸水素カリウムで中和すればD-グルコース-6-リン酸モノカリウム塩を与える。それでこの反応はD-グルコース2mo1とオキシ塩化リン1molが反応してビス-D-グルコース-6,6-リン酸が中間体としてでき,アルカリでの中和でD-グルコース1mo1が離れてD-グルコース-6-リン酸塩ができると思われる。グルコース-6-リン酸バリウムの赤外線吸収スペクトルやフェーリング反応も容易にすみやかに起ること,亜硫酸水素ナトリウムと沈殿を生ずること,明瞭なシップ反応を示すことなどからD-グルコース-6-リン酸バリウムの構造はピラノース環状構造でなく開環構造であると考えられる。

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