著者
柴原 裕亮
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.571, 2008-11-15 (Released:2008-12-31)
参考文献数
2

甲殻類アレルギーは,エビ,カニといった甲殻類を摂食することにより,蕁麻疹,呼吸困難,眼瞼浮腫,嘔吐,咽頭瘙痒感に加え様々な全身症状を呈するもので,時にアナフィラキシーショック症状を発現する.甲殻類の主要なアレルギー誘発物質(アレルゲン)であるトロポミオシンは分子量3.5~3.8万のサブユニット2つからなる2量体で,アクチン,トロポニンとともに細い筋原繊維を構成している熱に安定なタンパク質である.各種甲殻類のトロポミオシンはお互いに抗原交差性を示すが1),これは甲殻類間におけるトロポミオシンのアミノ酸配列の相同性が高いためでえび類のブラウンシュリンプを,クルマエビ(えび類),アメリカンロブスター(ざりがに類),シマイシガニ(かに類)とそれぞれ比較すると,すべて90%以上と非常に高い値を示している.さらに,ブラウンシュリンプのトロポミオシンについては,全配列をカバーするペプチドとエビアレルギー患者の血清IgEを用いた評価から主要なIgE結合エピトープが報告されている.これらのエピトープの部分配列は他の甲殻類においてもよく保存されており,抗原交差性を裏付けている.また,甲殻類以外とのアミノ酸配列の相同性は,上記と同じくブラウンシュリンプとの比較で,甲殻類と同じ節足動物に属するゴキブリ類,ダニ類が約80%,軟体動物のたこ類,いか類,貝類が60%程度で,いずれも抗原交差性が確認されている.一方,脊椎動物の鳥類,哺乳類もアミノ酸配列の相同性は60%程度なものの,抗原交差性は確認されていない.これらの抗原交差性の違いは節足動物および軟体動物では甲殻類とIgE結合エピトープのアミノ酸配列の相同性が高いが,脊椎動物では低いことに起因すると考えられる.平成14年4月より本格的に開始されたアレルギー物質を含む食品表示制度において,甲殻類(えび・かに)は過去に一定の頻度でアレルギーの発症が確認され,引き続き調査を必要とする品目であることから,特定原材料に準ずる20品目に含まれた.その後も調査は継続され,平成17年度の調査ではアナフィラキシーショック症状を誘発した食品として「えび」は特定原材料に次ぐ6位であった2).一方,「かに」は13位で「えび」と比較して頻度は少ないものの,エビアレルギー患者の65%が「かに」に対しても反応することから,「えび」と「かに」との交差性の頻度の高いことが確認された.このような新たな知見によりアレルギー表示対象品目の見直しが行われ,「えび」「かに」は平成20年6月より特定原材料に追加された.さらに表示の範囲も,従来の「えび」の範囲である日本標準商品分類の分類番号7133 えび類(いせえび・ざりがに類を除く)に加えて,7134 いせえび・うちわえび・ざりがに類が追加された.また,「かに」については7135 かに類を範囲としており,「えび」「かに」は生物学的に十脚目に分類される甲殻類を表示の範囲としている.

言及状況

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念のためお医者に行かれたほうがいいです。 ただ私は蟹アレルギー持ちですが、私とは症状が違うので多分別の病気じゃないかなという気が。。 おそらく腸炎とか、食中毒や細菌かバクテリアのせいじゃないかと。 アレルギーの場合は喉や皮膚に痒みや湿疹が出ると思います。 一般的な症状は、蕁麻疹,呼吸困難,眼瞼浮腫,嘔吐,咽頭瘙痒感 だそうですよ。お大事にしてください。 https://www.jstage.js ...
甲殻類アレルギーの可能性があると思います。やったことがなければ、1度アレルギー検査をおすすめします。 アレルゲン(アレルギーを起こす原因物質)が分かれば、暮らしやすくなると思います。 なおアレルギー検査はアナフィラキシーショックに対応するために、大学の付属病院などで行ないましょう。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/55/11/55_11_57 ...

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キチンは,多糖類(一種の食物繊維)であり蛋白質ではない…, 多糖類がアレルゲンになることはあまりないはず…。では, 甲殻類アレルギーのアレルゲンとは? 甲殻アレルギーの主要なアレルゲンは, トロポミオシンという蛋白質のようです。 甲殻類アレルゲン https://t.co/87cUyG1OcM
@ken_icj トロポミオシン? 関係しているのかはわかりませんが… https://t.co/NUepvoJVlU
甲殻類アレルゲン https://t.co/CEbNG5IAqk エビ、カニ、ダニ、ゴキ みんな仲間 https://t.co/najZc7bsgR
https://t.co/R9Bw9495M2 https://t.co/o4azLqxlMZ
ふむ。 https://t.co/gqaeN3239P
ほとんどと言ってよさそう? キトサンとアレルギー https://t.co/5uDyHh7oUc J-STAGE Articles - 甲殻類アレルゲン https://t.co/kqv0kzj4P0 J-STAGE Articles - 健康食品に含有されたキトサンによるアナフィラキシーの1例 https://t.co/WYoUVKPnZ4
@eyecot 甲殻類アレルギーの主なアレルゲンはトロポミオシンらしいです。そして節足動物でも交叉反応するというデータがあるようです。特にゴキブリはヤバイらしいですね。 https://t.co/fTUlcfd6tf https://t.co/K8LQX5lLjM
甲殻アレルギーの方はこちらを見るといいと思いますよ! オイスターソースも気をつけてね! J-STAGE Articles - 甲殻類アレルゲン https://t.co/MgN0IU4miF
汎甲殻類どころかダニはおろか軟体動物まで似たようなの持ってるらしい、なんじゃそりゃ J-STAGE Articles - 甲殻類アレルゲン https://t.co/kqv0kzj4P0
そうなのかぁ・・・ おいしいけど、そこはしっかりしないとだよね。 甲殻類アレルゲン https://t.co/fZ9Y6H6rZX
J-STAGE Articles - 甲殻類アレルゲン https://t.co/8G1t1kZCnC トロポミオシンってやつがアレルゲンなのか。知らなかった。
トロポミオシン!名前はかわいいhttps://t.co/llNpjXrjoT
ややこしいけど節足動物全般にはリスクがあるのか https://t.co/NXlSbqsb2Z
うちの子は10ヶ月にて年越しそば。経口摂取を早めに開始して経皮的感作を予防します。 ソバは未解明ですが、エビ・カニとダニ・ゴキブリのトロポミオシンという蛋白質は交差反応を起こします。 https://t.co/8eA5vkNVNA #そばアレルギー #年越しそば #いつから https://t.co/wdo5NQO1OW
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