著者
保田 時男
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.85-98, 2012 (Released:2013-03-18)
参考文献数
26
被引用文献数
2

本稿では,社会学者によるパネルデータの収集と管理に関して,日本の調査環境が直面するいくつかの方法論的な課題を提示し,その理想像について考察する.パネルデータの収集については,3つの論点を示した.第1に,パネル調査においても回顧法の視点が必要なことを主張した.第2に,カレンダー面接が正確な記憶の取り出しに役立つことを説明した.第3に,computer assisted interview(CAI)が多方面に有効性を発揮することを示した.次に,パネルデータの管理に関する2つの論点について議論した.第1に,データクリーニングの問題を取り上げ,Fellegi and Houtの原則に沿った手続きの重要性を主張した.第2に,分析者にとってユーザビリティの高いデータを構築することまでが,調査設計者の役割であることを訴えた.最後に,これらの論点の中で,CAIの導入がもっとも重要で,パネルデータの理想的な収集・管理を議論するための要石であることを訴えた.

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パネルデータの収集と管理をめぐる方法論的な課題 https://t.co/qZs78gB0y0
『理論と方法』論文ピックアップ第10回:保田時男2012「パネルデータの収集と管理をめぐる方法論的な課題」(https://t.co/E3bTzTNtmF)日本でも盛んに行われ始めたパネル調査の手続きに投げかける一線級の問題提起.パネルデータ収集・管理の理想的な規準とは?

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