著者
山岸 俊男
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.21-37, 1989-03-24 (Released:2009-03-31)
参考文献数
39
被引用文献数
2

社会的ジレンマにおける成員の行動が「意図せざる効果」を生むことはよく知られている。 すなわち社会的ジレンマにおいては、個々の成員の自己利益追及という意図にもとづく行動が、社会的に集積されることにより、それぞれの成員の意図に反する結果(利益の減少)が生み出されている。このような社会的ジレンマ問題の解決のためにこれまでいくつかの解決法が示唆されてきたが、これらの社会的ジレンマ解決法の「意図されざる効果」については、これまであまり議論がなされていない。本稿では、ジレンマ解決法の「意図されざる効果」の例として、選択的誘因の使用に伴う協力への「内発的動機づけ」の減少、および戦略的行の「外部性」により引起こされる「非協力の悪循環」をとりあげ、そこに含まれる問題を整すると同時に、関連研究の紹介を行なう。

言及状況

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山岸先生の論文p.26 集団内での協力行動を維持するために選択的誘引を用いる程度の高い社会ほど①人々は他人に対する信頼感を失い、②そのような選択的誘引の行使が不可能な状況では自発的な協力行動が起こりにくくなり、③選択的誘引が存在する場合のみ協力行動が可能となる。https://t.co/RoQKtHDroP

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