著者
小笠原 真志
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.201-205, 2023 (Released:2023-07-05)
参考文献数
20

先天性ミオパチーは臨床的,病理学的,遺伝学的にheterogeneousな遺伝性筋疾患である.筋病理で筋線維内に特徴的な構造異常を認めるため,従来,先天性ミオパチーは筋病理学的に診断がなされてきた.筋病理像によって,ネマリンミオパチー,コアミオパチー(セントラルコア病・マルチミニコア病),ミオチュブラーミオパチー/中心核病,先天性筋線維タイプ不均等症に細分化されている.近年の遺伝子解析の技術の進歩に伴い毎年のように先天性ミオパチーの新規原因遺伝子が同定され,さらに1つの原因遺伝子が複数の先天性ミオパチーを来す報告がある一方で,1つの先天性ミオパチーを来す原因として複数の原因遺伝子が報告されている.また遺伝形式も顕性遺伝しか報告のなかった原因遺伝子で潜性遺伝も報告され,その逆の例もまた報告されている.そのため遺伝子検査によって得られた結果だけではその解釈は難しい場合がある.従来,先天性ミオパチーは臨床的に表現型が似ているため筋病理によって診断がなされてきたが,最近の大規模な症例解析によって臨床的に異なる表現型を呈することが分かってきた.本稿ではそれぞれの先天性ミオパチーの臨床的,病理学的,遺伝学的な特徴について最新の知見を踏まえ概説する.また先天性ミオパチーで現在行われている研究についても概説する.

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