著者
古場 一哲
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.10, no.11, pp.415-422, 2010-11-01 (Released:2013-06-01)
参考文献数
73

これまでに, 共役リノール酸 (CLA) は, 発がん抑制, 体脂肪低減をはじめとする多彩な生理機能を示すことが動物実験により明らかにされ, その作用機序についてもある程度明らかにされてきている。中でも, 体脂肪低減作用はヒトでも有効性が報告され, とくに注目されている。CLAはリノール酸 (実際にはサフラワー油など) をアルカリ異性化して調製される。この方法では9c, 11t-18 : 2と10t12c18 : 2の2種類のCLA異性体がほぼ1 : 1の割合で生成する。市販のCLAもこの方法で調製されている。 CLAの生理機能は異性体によって異なり, 9c, 11t-8 : 2が発がん抑制など限られた効果しか示さないのに対し, 10t12c18 : 2は体脂肪低減を含む多彩な生理機i能を発揮する。CLAは天然には9c, 11t8 : 2として牛肉や乳製品に微量 (5mg/g脂質程度) 存在するが, これらは量的にも重要な供給源とはならない。10t12c-異性体の体脂肪低減作用を期待してCLAサプリメントが国内外で市販されている。最近, CLAを配合した加工食品も市場に出始め, 機能性素材として, CLAは新たな局面を迎えている。

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