著者
海崎 彩
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.127-142, 2014-02-28 (Released:2014-06-26)
参考文献数
33

背景・目的 : 夏季暑熱環境下では食物摂取が減少し、体格や競技力に影響を及ぼす可能性がある。そこで、夏季の食物摂取の減少について調査し、体格に及ぼす影響を調べるとともにエネルギー代謝や甲状腺ホルモンとの関連について検討した。方法 : 高校硬式野球部に所属する男子生徒を対象として、春季~冬季にわたり栄養調査、身体計測、生活時間調査(AC : activity record)を3回行った。さらに、安静時エネルギー代謝量(REE : resting energy expenditure)、甲状腺ホルモンを測定し、エネルギー(E)摂取との関連を調べた。栄養調査からE摂取量を計算し、ACから総エネルギー消費量(TEE : total enregy expenditure)を算出し、エネルギー(E)バランスを決定した。またREEは呼気ガス分析により測定し、甲状腺ホルモンはT3、FT3、FT4を定量した。結果 : 夏季のE摂取の減少は、約70%の選手で起こったので、E摂取が減少した群をLA、減少しなかった群をHAとした。TEEは両群ともに夏季に増加したので、E摂取が減少したLAではEバランスは有意に低下し負に傾いた(約-690kcal/day)。彼らの体重および上腕周囲長はそれぞれ春季よりも有意に減少し(p<0.05)、その減少率は約2~4%であった。食事のエネルギー構成比率は、LAでは高炭水化物食、HAでは高脂肪食の傾向であった。また、E摂取が減少すると、マクロ栄養素もミクロ栄養素も減少した。REEは、夏季に有意に減少し、E摂取の減少と関連することが示唆された。一方、T3、FT3は、夏季には変化はなかったが、冬季に有意に上昇しREEとの関連が見られた。結論 : 夏季環境下におけるE摂取の減少は、体重および上腕周囲長の減少を引き起こし、体格に影響を与えた。E摂取の減少は、REEの低下と関連することが示唆された。

言及状況

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