著者
藤田 風花
出版者
洛北史学会
雑誌
洛北史学 (ISSN:13455281)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.59-81, 2022-06-04 (Released:2022-06-30)

エフェソス公会議(四三一)以来の独立正教会であったキプロス正教会は、一二世紀末からはじまるリュジニャン朝においてあらたに導入されたカトリック教会に従属していた。本稿は、キプロス正教会が一四〇五年にコンスタンティノープル総主教座教会との「合同」を要求した事例に焦点をあて、同時代的に 議論されていた東西教会合同運動の文脈のなかで再検討することを目的とする。コンスタンティノープルからキプロスに派遣された修道士、ヨセフ・ブリュエ ンニオスが一四〇六年に招集した教会会議の議事録『プラクティカ』を分析することで、彼とキプロス正教会聖職者双方の主張を跡づけた。考察の結果、キプロス、ギリシア正教圏、ヨーロッパ全体の政治的・宗教的変動のなかで、キプロス正教会の「合同」要求をめぐる議論をとおして、コンスタンティノープル総 主教座とキプロス正教会の双方による、信仰と教会組織をめぐる境界線の引きなおしが試みられたことを明らかにした。

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