著者
岡島 陽子
出版者
洛北史学会
雑誌
洛北史学 (ISSN:13455281)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.41-57, 2022-06-04 (Released:2022-07-09)

先行研究では後宮職員令に規定された十二司は、内裏空間への男性官人の進出と蔵人所による内廷官司掌握によって、宇多朝から村上朝の間に解体され、内侍司を中心に再編されるとされている。しかし男性官司と女性官司の職務関係の実態と解体につながる要因については解明されてこなかった。そこで本稿では 神璽・天皇御服など物品管理を行う蔵司と経典や楽器などの管理を行う書司という保管型官司を取り上げて職掌の分析を行った。すると二司とも男性官司が管 理する物品を分収・保管するとされた職掌については判然とせず、早い段階で職務停止があったと考えられる。一方、書司の楽器管理など男性官司の職掌には なく、分収を伴わない職務については継続して行われた。蔵司の職務は内侍・糸所といった女官への吸収が確認されるとともに、蔵人所への代替も想定される。書司は図書寮との職務の連関が見られたが、十世紀には蔵人所の指揮に組み込まれた。
著者
堀越 翔
出版者
洛北史学会
雑誌
洛北史学 (ISSN:13455281)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.43-65, 2019-06-01 (Released:2023-07-21)

本稿は、芦田均のリベラリズム・ナショナリズムの内実と両者の関係、および外交観・安全保障観を確認しつつ、それらに規定される日本国憲法観に迫る。これら諸課題を通じ、芦田の積極的対米協調論を分析することで、戦後日米関係形成期における日本の積極性の一端を明らかにする。個人の自立を重んじる芦田は、占領下で国民の自立を達成する方法を模索し、自由主義陣営の一員としての積極的貢献にその道を見いだした。その実現のために再軍備運動を推進し、民族精神に訴える改憲提唱も行った。だが、芦田の目指す国民の自立とは、あくまで自由主義陣営の一員としての自立であり、共産主義勢力へは警戒心を持ち続けた。芦田の積極的対米協調論について考察する中で、本稿は対米従属―独立という視点からでは捉ええない、日米関係の「共犯性」を生み出すナショナリズム、すなわち積極的対米協調による自立を目指すナショナリズムの存在を明らかにした。
著者
福島 幸宏
出版者
洛北史学会
雑誌
洛北史学 (ISSN:13455281)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.29-40, 2022-06-04 (Released:2022-06-30)

歴史学を含む人文学研究の基盤や作法が、いまや根底から覆りつつある、という認識から、歴史学の変革は如何にして可能かを論じる。まず、デジタルアーカイブや人文情報学の動向を整理するなかで、歴史学の基盤があまり意識されることなくデジタル上に移行しており、さらに多様なデータがすでに公開されていることを示す。その上で、様々に方法を駆使し、さらに意識変革をともないながら、デジタル技術を歴史学の日常にし、学自体の価値を正面から押し出す方向へ転換することを提起する。このなかで、社会的課題の解消への貢献が可能であることを示すことで、歴史学の影響力の回復を目指し、現在歴史学や人文学が直面している課題を少しでも解決できるのではないか、と提起する。
著者
衣川 仁
出版者
洛北史学会
雑誌
洛北史学 (ISSN:13455281)
巻号頁・発行日
no.17, pp.19-42, 2015
著者
藤田 和敏
出版者
洛北史学会
雑誌
洛北史学 (ISSN:13455281)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.102-111, 2000-06-10 (Released:2023-03-23)
著者
藤田 風花
出版者
洛北史学会
雑誌
洛北史学 (ISSN:13455281)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.59-81, 2022-06-04 (Released:2022-06-30)

エフェソス公会議(四三一)以来の独立正教会であったキプロス正教会は、一二世紀末からはじまるリュジニャン朝においてあらたに導入されたカトリック教会に従属していた。本稿は、キプロス正教会が一四〇五年にコンスタンティノープル総主教座教会との「合同」を要求した事例に焦点をあて、同時代的に 議論されていた東西教会合同運動の文脈のなかで再検討することを目的とする。コンスタンティノープルからキプロスに派遣された修道士、ヨセフ・ブリュエ ンニオスが一四〇六年に招集した教会会議の議事録『プラクティカ』を分析することで、彼とキプロス正教会聖職者双方の主張を跡づけた。考察の結果、キプロス、ギリシア正教圏、ヨーロッパ全体の政治的・宗教的変動のなかで、キプロス正教会の「合同」要求をめぐる議論をとおして、コンスタンティノープル総 主教座とキプロス正教会の双方による、信仰と教会組織をめぐる境界線の引きなおしが試みられたことを明らかにした。
著者
三輪 眞嗣
出版者
洛北史学会
雑誌
洛北史学 (ISSN:13455281)
巻号頁・発行日
no.22, pp.21-46, 2020
著者
根無 新太郎
出版者
洛北史学会
雑誌
洛北史学 (ISSN:13455281)
巻号頁・発行日
no.20, pp.185-190, 2018
著者
伊藤 真昭
出版者
洛北史学会
雑誌
洛北史学 (ISSN:13455281)
巻号頁・発行日
no.4, pp.67-89, 2002