- 著者
-
亀崎 豊実
- 出版者
- 一般社団法人 日本血液学会
- 雑誌
- 臨床血液 (ISSN:04851439)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.7, pp.778-784, 2015 (Released:2015-08-06)
- 参考文献数
- 14
自己免疫性溶血性貧血(AIHA)発症に関わる基礎疾患としては,自己免疫疾患とリンパ免疫系疾患が代表的であり,固形がんは稀であるが,臨床的に因果関係が認められる症例報告が少なからず認められ,腫瘍随伴症候群(PNS)の1つと考えられている。基礎疾患であるがん病変の切除とともにAIHAも消退することから,ステロイド治療不応性/依存性のAIHA症例においては,PNSである可能性を考慮して基礎疾患の検索が必要である。最近,PNS-AIHA症例でがん組織と赤血球との共通抗原の存在が報告された。AIHAやがんの発症メカニズムの解明や新たな治療ターゲットの発見に繋がることが期待される。