著者
亀崎 豊実
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.7, pp.1599-1608, 2014-07-10 (Released:2015-07-10)
参考文献数
10
被引用文献数
4

自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の診断は,貧血と黄疸があり直接クームス試験が陽性であると比較的容易であり,ステロイド治療への反応性も良好である.クームス陰性AIHAや低力価寒冷凝集素症,発作性寒冷ヘモグロビン尿症などの非典型的な特殊な病型では診断に苦慮することが多いため,臨床病態やクームス試験結果の解釈に注意を要する.ステロイド不応性や不耐性の症例への対応では,近年,抗体療法が注目されている.
著者
亀崎豊実
出版者
医薬ジャーナル社
巻号頁・発行日
pp.43-53, 2018-12-30

溶血性貧血は,高齢者でみられる貧血の原因としては比較的稀であるが,しばしば急性発症し重篤になり得る。貧血患者に黄疸や乳酸脱水素酵素(LDH)の上昇を認めた際には,溶血を念頭に置いて検査を進める必要がある。高齢者の溶血では,後天性の溶血性疾患である自己免疫性溶血性貧血や発作性夜間ヘモグロビン尿症,赤血球破砕症候群,薬剤性溶血などが主な鑑別疾患としてあげられる。輸血以外の包括的な治療法が存在しないことから,病型診断の確定が治療法選択や予後の推定に重要である。
著者
亀崎 豊実
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.778-784, 2015 (Released:2015-08-06)
参考文献数
14

自己免疫性溶血性貧血(AIHA)発症に関わる基礎疾患としては,自己免疫疾患とリンパ免疫系疾患が代表的であり,固形がんは稀であるが,臨床的に因果関係が認められる症例報告が少なからず認められ,腫瘍随伴症候群(PNS)の1つと考えられている。基礎疾患であるがん病変の切除とともにAIHAも消退することから,ステロイド治療不応性/依存性のAIHA症例においては,PNSである可能性を考慮して基礎疾患の検索が必要である。最近,PNS-AIHA症例でがん組織と赤血球との共通抗原の存在が報告された。AIHAやがんの発症メカニズムの解明や新たな治療ターゲットの発見に繋がることが期待される。
著者
岡山 雅信 梶井 英治 亀崎 豊実 熊田 真樹 小松 憲一 神田 健史 竹島 太郎 見坂 恒明 今野 和典
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

疾患に不安を持っている者は、当該疾患感受性遺伝子検査を受けやすく、結果に一喜一憂しやすいことが示唆された。嗜好性の高い生活習慣を控えている者は、陰性の遺伝子検査結果により、それを中断する危険性がわかった。検査結果の説明に工夫が必要と思われる。1年間の追跡では、遺伝子検査結果の通知の有無による生活習慣に係る項目のほとんどに差が観察されなかった。詳細な検討は必要であるが、仮にあったとしても、生活習慣への遺伝子結果通知の介入効果は軽微と思われる。