著者
南学 正臣
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.938-943, 2021 (Released:2021-09-08)
参考文献数
31

低酸素誘導因子(hypoxia-inducible factor, HIF)は低酸素状態に対する適応応答を司り,様々な低酸素に対する適応応答を誘導する。HIFの主要なターゲット分子としてエリスロポエチンがあり,赤血球を増やすことで臓器への酸素供給を促す。HIFの分解はHIF-PHが司っており,HIFを活性化するHIF-PH阻害薬は腎性貧血の新しい治療薬として期待されている。また,慢性腎臓病の進展のfinal common pathwayとして腎臓の慢性低酸素が重要であり,心血管系合併症においても臓器の低酸素が重要である。HIF-PH阻害薬にはVEGF産生の刺激などによる理論的注意点もあるが,低酸素に対する臓器保護も期待される。2019年にはHIF/HIF-PHによる低酸素応答機構を解明した三人の研究者がノーベル医学・生理学賞を受賞しており,関連する酸素生物学は世界的にも注目されている分野である。

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南学正臣. (2021). HIF-PH 阻害薬が切り拓く新しい腎性貧血治療. 臨床血液, 62(8), 938-943. https://t.co/boAdsNCZDu

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