著者
小渕 千絵
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.225-230, 2019 (Released:2020-04-28)
参考文献数
23
被引用文献数
1

聴覚情報処理障害(Auditory processing disorder, APD)は,聴力の低下はみられないが,雑音下での聴取など聴取に負荷のかかる状況下で聴取の困難さを示す症状である。APD症状の要因として,聴覚野に限局した器質的障害のある方はほとんどみられず,発達障害の診断に該当する場合や,診断には該当しないが注意や記憶などの認知的な問題,心理的な問題が考えられている。最近では,背景の多様性を考え,聞き取り困難(listening difficulties)とするのが良いのではないかとの議論もみられる。評価においては,APD症状の聴覚特性を把握するための検査だけでなく,背景の要因を検討するための認知や心理的な検査も含めて行うことが必要である。また,支援においては,一般的な聴覚障害児者への手法を応用する。補聴機器の使用を含めた環境調整,認知的なトレーニング,心理的な支援という3つの視点で対処し,症状軽減に向けた個別的な対応が望まれる。

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資料の趣旨とはずれますが、私は小渕先生の下記の論文を読んで、支援の方法は似ているけれどAPDは聴覚障害とは別物という理解でした。 小渕千絵. (2019). 聴覚情報処理障害 (Auditory processing disorder, APD) の現状と対応. 小児耳鼻咽喉科, 40(3), 225-230. https://t.co/WtEaz5yIba https://t.co/ixUrzGQGzs

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