著者
野尻 洋平
出版者
日本社会学理論学会
雑誌
現代社会学理論研究 (ISSN:18817467)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.67-79, 2013 (Released:2020-03-09)

本稿の目的は、「子どもの見守り」技術としての監視技術の導入・受容をおもな題材として、後期近代における監視社会の特質を個人化論の観点から検討することである。監視社会と個人化はともに、1980 年代半ば以降に現代という時代のメルクマールとなった社会現象である。前者についてはD. ライアンが、後者についてはU. ベックやZ. バウマンが精力的に議論を展開してきた。当初これらの現象は個別に論じられてきたが、近年の日本では三上剛史が監視社会と個人化の関連性を指摘している(三上 2010)。だが、かれの指摘は抽象的もしくは断片的なものにとどまっている。現代における監視社会形成のメカニズムは、個人化の内的論理と密接に接合することによってより明瞭になると考えられるため、上記の課題を検討することが必要である。本稿では、2000 年代以降の日本社会において社会的な注目をあつめた「子どもの見守り」を題材に、監視社会が出現する社会的なメカニズムを、個人化論の諸概念をもちいて理論的に説明することを試みる。

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