著者
宮﨑 照雄
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.33-35, 2015 (Released:2019-10-01)

空腹時や持久性運動時では、肝臓の脂質代謝が亢進し、肝臓にて酢酸が生成され、骨格筋等でエネルギー産生に利用される。近年、アルコール代謝にて生じる酢酸により、タウリンがアセチル化され、N-acetyltaurine(NAT)として尿へ排泄される事が明らかとなった。そのため、持久性運動時でも同様に、NATが生成され、尿へ排泄される事が推測される。フルマラソンや持久走による検討の結果、持久性運動により血中NAT濃度が上昇した。上昇したNATの血清濃度は、運動1日後までに元の値に回復しており、運動後にNATが尿へ排泄されるためである事が確認された。培養細胞の検討により、NATは、細胞外から取り込まれた酢酸がタウリンをアセチル化して排泄する事が確認され、運動中のエネルギー消費の中心的組織である骨格筋でもNATを生成する可能性が示唆された。持久性運動中には、脂質代謝が亢進し、酢酸(アセチル基)が過剰に生じる。タウリンは、この運動中に過剰に生じた酢酸からNATを生成し、速やかに酢酸を体外へ(尿)排泄させる役割を果たしている事が考えられる。

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マラソンなどの持久性運動時には、肝臓や骨格筋などの組織から酢酸が産生され、過剰状態となる。 タウリンは運動によって生じた酢酸と反応し、アセチルタウリンが生成され、生体外に(主に尿中)排泄させる役割が推測される。 持久性運動によるアセチルタウリンの生成 https://t.co/UbSU6qIvpM

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