- 著者
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位髙 啓史
- 出版者
- 公益財団法人 日本学術協力財団
- 雑誌
- 学術の動向 (ISSN:13423363)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.10, pp.10_38-10_43, 2021-10-01 (Released:2022-02-25)
- 参考文献数
- 16
人工的に合成したメッセンジャーRNA(mRNA)をクスリとして体内に投与し、治療薬やワクチンとして用いるmRNA医薬・ワクチンが注目されている。核酸配列を変えるだけでどのようなタンパク質でも産生させることが可能で、ゲノム挿入変異リスクが無いなど、多くの疾患に対する治療薬・ワクチンとしての開発が期待される新規医薬品モダリティである。新型コロナウイルスに対して迅速なワクチン開発が行われたが、そこにはmRNA作成技術、mRNAの免疫原性を制御する技術、体内の目的とする組織・細胞にmRNAを安全に送り届ける送達システム(ドラッグデリバリーシステム:DDS)など多くの技術の寄与がある。本稿ではmRNA医薬・ワクチンの開発経緯、用いられる技術、適応や今後の課題について概説する。