- 著者
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河井 弘志
- 出版者
- 日本図書館研究会
- 雑誌
- 図書館界 (ISSN:00409669)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.1, pp.2-15, 2014-05-01 (Released:2017-05-24)
ヨーロッパ18世紀に,多くの人が図書館めぐりの旅行をした。その一人学生ウッフェンバッハもドイツ,オランダ,イギリスの図書館探訪旅行をし,歴史ある図書館で貴重マヌスクリプトを実見した。大学図書館は未整備で,むしろ教授の個人図書館のほうがよかった。記録した多数の書誌データによって,旅行記は貴重図書の総合目録の役割を果たした。粗野な書誌記述は目録規則の模索段階ともいえる。鎖つき本の書見台は,書架システムのリアルな歴史である。図書館員の多くは書物や蔵書管理の基礎知識をもたず,彼の厳しい批判にさらされた。