著者
松本 健太郎
出版者
観光学術学会
雑誌
観光学評論 (ISSN:21876649)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.13-20, 2019 (Released:2021-03-31)

本論文では、旅行情報コンテンツとして世界一の閲覧数を誇るトリップアドバイザーをとりあげ、そこで旅行者が投稿した写真データの位置づけを分析の俎上に載せる。そのうえで、そのアプリに搭載された機能が旅をめぐるイマジネーションを喚起するのか、そして旅をめぐる体験をシミュレートするのかを考察することになる。 より具体的にいえば、トリップアドバイザーのサイト、およびそのスマートフォン版アプリによって、私たちは都市や地域ごとのホテル、レストラン、観光情報などに関する口コミや価格比較を利用しうるわけだが、本論文ではそこに含まれるデジタル写真のメディア論的な位置づけに着眼したうえで、それに関連した二つの機能――「トラベルタイムライン」と「360度パノラマ写真」――を分析していく。そしてそのうえで、単なる「旅の表象」ではなく、むしろ「旅のシミュレーション」という観点から、それらが可能にする「旅の想像」のメカニズムについて考察を展開することになる。ようするに本研究では、写真の画像データにもとづいて、旅という行為をよりリアルなものとしてシミュレートする上記の機能を考察することで、今日的な旅のイマジネーションの実相に目を向けようと試みるわけである。

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松本健太郎「旅をめぐるイマジネーションの現在ートリップアドバイザーがシミュレートする「想像による旅」」『観光学評論』7 巻 1 号、2019年。 https://t.co/u0y9hHAb66

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