著者
齋藤 亜紀
出版者
大学美術教育学会
雑誌
美術教育学研究 (ISSN:24332038)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.169-176, 2018 (Released:2019-03-31)
参考文献数
22

本稿は佐藤忠良の教育について再考するために,佐藤の造形指導の意図がどのように授受されたのか,インタビューをもとに検討したものである。インタビューは東京造形大学の草創期に佐藤の教育を受け,後に彫刻家となった5人に協力を依頼した。佐藤は,この大学は具象を学ぶ学校であることを明言し,教育の目標を「高度な精神と技術1」を備えた自律した人間形成と考えていた。表現を試行するために身体を鍛えること,〈自然〉を自分の目と手で捉える訓練をさせることが第一義であると考えた。建学当初,この意図は学生と共に大学の歴史を作って行こうとする情熱によって様々に試行される。しかし,人体像を通して写実を学ぶことと〈佐藤の造形〉は混同され,造形指導の本来の意図とは異なり,齟齬を生じさせていった。〈佐藤の造形〉という表層的な問題と佐藤の造形指導の真の意図から,その授受を検討した。

言及状況

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齋藤亜紀「彫刻家佐藤忠良の教育」(2018年)読了。 東京造形大学での弟子への取材から #佐藤忠良 の教育観に迫った好論。美校生時代に朝倉文夫を毛嫌いしていた佐藤は、卒業後朝倉のアトリエで話をするようになってから彼を理解し尊敬したというのも初耳。 J-STAGE Articles https://t.co/TFHnx8Drf6

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