著者
横田 清 高舘 城雄 野中 政伸
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.239-245, 1989-10-30 (Released:2009-12-17)
参考文献数
6
被引用文献数
2

エゾノギシギシが優占雑草となっているリンゴ園においてグリホサート液剤, グルホシネート液剤, ビアラホス水溶剤およびDBN・DCMU粒剤の秋処理の実験を行った。処理翌春の雑草の生育状況, 土壌中のN量の変化および雑草に吸収されるN量を調査し, さらにリンゴ園における除草剤の使用体系について考察した。1. 11月中旬の処理で翌春の雑草量を抑え, 除草剤処理あるいは刈り取りの時期を6月上旬まで延ばすことができ, とくにリンゴ園で最も問題となっているエゾノギシギシを効果的に防除しうることが認められた。2. 秋処理の効果は散布時期に大きく影響され, 雑草が冬枯れに入る前の散布で効果が大きかった。とくにグルホシネートとビアラホスではこの傾向が顕著であった。3. 春先のリンゴ園土壌中のNO3-Nは雑草の多少によって影響され, 草量の少ない区ほど高いレベルが維持された。4. 施肥時期に雑草の発生が多かった対照区では施肥したNのほとんどが直ちに雑草に吸収され, リンゴの根群域にはほとんど到達しないことが推定された。5. 雑草のN含有率は乾物当たり3.1~3.8%の範囲であり, 6月上旬まで草を繁茂させると施肥量に相当する10a当たり約15kgのNが雑草に吸収されることがわかった。6. 秋処理によって春先の草量を減らすことが施肥の効率を高め, 土壌中のNO3-Nを高いレベルに維持できることが認められた。7. 以上の諸結果からリンゴ園での除草剤の秋処理は, 労力が集中する春先に草生管理を軽減できると同時に施肥の効率化の面からみても意義が大きく, 年間の雑草管理体系に組み入れることの有利性が認められた。

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やはりギシギシは叩かねばならないようだ。 施肥成分(N)を吸い上げて果樹に行かなくなってしまう。 草種から激減させたいのだから現実的に除草剤を冬前にやるべし リンゴ園における除草剤の秋処理が翌春の雑草量および施肥窒素の動態に及ぼす影響 https://t.co/91bjvZgwVu

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