著者
鶴田 幸恵
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.17-31, 2017-12-26 (Released:2019-01-28)
参考文献数
16

この論文の目的は「トランスジェンダー」概念と「性同一性障害(GID)」概念の関係について,トランスジェンダーとして生きる三橋さんと,性同一性障害として生きるAさんへのインタビューの分析から見通しを与えることである. 三橋さんは,「トランスジェンダー」が性別役割の押しつけからの解放を求める運動と結びついたカテゴリーであるのに対し,「GID」は医学の身体本質主義と結びついた医療カテゴリーであると語る.それに対してAさんは,「GID」をある種の「障害」カテゴリーとして,「トランスジェンダー」と対立的には捉えていない.Aさんは,「障害」というものを社会の側にあると位置づける理解の仕方によって,また三橋さんや私が前提としているようにトランスジェンダーと性同一性障害を対立した存在だとは捉えないことによって,性同一性障害というものをアイデンティティとすることができている. 両者の概念の用法は対立するように見えるかもしれないが,いずれも彼女らが直面してきた問題をサバイブするための手段だと考えることもできる.それゆえ,彼女らのアイデンティティ・カテゴリーは,彼女らの生きている社会関係と,その関係の中でカテゴリーが埋め込まれた概念連関の中で理解されなくてはならない.
著者
北崎 朋希
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.640-645, 2017

1998年、ニューヨーク市は歴史的建造物の保全活用を目的として、ミッドタウン特別地区シアター街区の容積移転制度の拡充と負担金制度の導入を行った。この容積移転制度の拡充によって、従来の手法では容積移転が困難な場所にあった劇場を中心に59.7万平方フィートの未利用容積が移転された。また、この負担金制度は、劇場から開発権を購入したデベロッパーから859万ドルを集めた。この資金は、劇場の保全を直接支援するのではなく、新規顧客の開拓や新たなミュージカルやストレートプレイの政策支援に活用されている。これは、シアター産業が安定的に成長することで、劇場所有者が施設の保全や活用に自然と注力するというサイクルを生み出すという考えに基づいている。
著者
小柳 憲司
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.38, no.8, pp.625-628, 1998-12-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
7

鉄欠乏性貧血による異食症の影響が大きいと考えられた抜毛癖の症例を経験した.患児は毛髪を抜いては口に入れる行為を繰り返していたが, 経過中, 抜毛できないように髪を短くカットしたところ, 飼い犬の毛を切ってまで口に入れる行為が出現したため, 鉄欠乏性貧血の存在が疑われた.そして, 鉄剤の投与によって, 抜毛および(毛髪)異食症は急速に改善した.一般に, 抜毛癖は体毛を抜くという行為自体が快感であると考えられているが, 本症例の場合には, 抜く時の感覚そのものより, 抜いた体毛を口に入れる行為を快感に感じていたと思われる点で, 抜毛癖としてはやや特異なカテゴリーに入るといえるだろう.
著者
多田 隆治
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.107, no.2, pp.218-233, 1998-04-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
57
被引用文献数
1 1

Since the ice core records from central Greenland revealed the presence and significance of millennial-scale large and abrupt climatic changes, widely known as Dansgaard-Oeschger [D-O] Cycles, it becomes the major objective of paleoclimatological researches to clarify their extent, nature, propagation mechanism, and driving force. Although the ultimate driving force is not yet understood, results of recent studies suggest 1) D-O Cycles are global phenomena, 2) they involve complicated interactions and feedback processes among the subsystems including atmosphere, cryosphere, hydrosphere, and biosphere, and 3) they seem tohave initiated from changes in atmospheric circulation.Catastrophic surges of Laurentide Ice Sheet called Heinrich Events are closely associated with D-O Cycles. Although Heinrich Events are likely to have been caused by free oscillationsof ice sheet growth and decay, they were probably not a cause of D-O Cycles but the events seem to have been phase-locked by D-O Cycles. Results of numerical modelling suggest the presence of multi-modes for global deepwater circulation. Switching among the modes is most likely caused by slight variation in hydrogical cycles which change the fresh water balance between Atlantic and Pacific.
著者
西澤 直子
出版者
慶應義塾福澤研究センター
雑誌
近代日本研究 (ISSN:09114181)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.143-163, 1997

資料一 はじめに二 小幡甚三郎関係資料の詳細と成立経緯三 小幡甚三郎の履歴四 アメリカ留学五 おわりに : 小幡兄弟への期待
著者
大阪湾海岸生物研究会
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
自然史研究 = SHIZENSHI-KENKYU, Occasional papers from the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786683)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.17-40, 2018-12-26

2011年から2015年にかけて,大阪湾南東部の6ヵ所の岩礁海岸において潮間帯生物相調査を実施した。その結果132種の海藻,1種の海産顕花植物および479種の動物が記録された。出現種を報告するとともに,同様の方法でこの海域で行った前回の調査結果と比較する.
著者
及川 靖広 池田 雄介
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01 (Released:2016-04-21)

本研究では、光音響効果を用いた音源生成の理論を確立し、最終的にはそれを気体中に適用することで任意の音源を再生可能な空中音源の生成を目指している。本年度は、初年度の成果に基づき、物体表面を音源位置とする音響信号の再生を目指し、システム構築、実験を行なった。光学的音響計測器を構築し、音波生成の様子を確認した。具体的には、以下の課題について取り組んだ。(1)複数の周波数を再生可能なシステムの構築:初年度は光音響効果という物理現象の基礎的な特性を明らかにするため、正弦波などの単純な定常音の発生を対象としたが、レーザパルスの周波数を変えることにより複数の周波数の音を再生可能なシステムを構築した。レーザを金属、木材、炭化コルク等に照射して、音の発生を確認した。光を照射する物質との関係など、光音響効果に関わる様々な要因を実験により確認した。(2)音源のプロジェクションを目指した処理:可動式ミラーによりレーザ光照射位置を変えることができるシステムを構築し、光を照射した場所を音源とすることができることを確認した。このシステムにより移動音源を生成可能であることを実験により確認した。(3)光学的音響計測による音源近傍の計測:我々がこれまで開発してきた位相シフト干渉法と偏光計測技術を組み合わせた空気の屈折率変調を定量的かつ高速高空間分解能で計測可能な計測器を用いて、音波発生の様子を計測するために音源近傍の観測を行ない、音波発生の様子を可視化した。
著者
大橋 美幸
出版者
函館大学
雑誌
函館大学論究 (ISSN:02866137)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.59-92, 2018-10

北海道新幹線の開業3年目に、函館市等の街頭、イベントでアンケートを行い、開業前、開業直後と比較した(回収数3824)。 北海道新幹線の利用経験は函館5割、他の沿線5~6割、札幌3割であり、沿線だけでなく遠方からも利用されている。目的は道内外ともに観光が多く、開業直後から変わっていない。 沿線への開業の影響は、経済・社会全体に「プラス」、観光客数が「増えた」と函館、新幹線駅地元で5~7割に評価されており、おおむね肯定的に捉えられている。ただし、1年前に比べて実感は薄くなりつつある。 道外からの移動は、東北8割、北関東4割が新幹線を利用しており、東北で開業前のJR利用が移行し、北関東で飛行機からの一部乗り換えが起こっている。訪問先は函館のみが8割程度であり、開業直後から変わっていない。周遊につながっておらず、新幹線の開業効果を限定的なものにしている。
著者
小塩 真司 脇田 貴文 岡田 涼 並川 努 茂垣 まどか
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.299-311, 2016 (Released:2018-12-20)
参考文献数
95

自尊感情はこれまでの心理学の歴史の中で非常に多くの研究で取り上げられてきた構成概念のひとつである。近年では,多くの研究知見を統合するメタ分析が注目を集めている。その中でも本稿では,平均値等の統計量をデータが収集された調査年ごとに統合することで,心理学概念の時代的な変化を検討する時間横断的メタ分析に注目する。小塩ほか(2014)は日本で報告されたRosenbergの自尊感情尺度の平均値に対して時間横断的メタ分析を試み,自尊感情の平均値が近年になるほど低下傾向にあることを見出した。また岡田ほか(2014)は,近年になるほど自尊感情の男女差が小さくなる可能性を報告した。本稿ではこれらの研究の背景と研究知見を紹介し,時代変化という要因を考慮に入れたうえで今後どのような研究の方向性が考えられるのかを展望した。具体的には,研究の継続性,検討する指標の多様性,行動指標への注目,関連性の変化への注目,社会状況の変化との照合という観点が提示された。
著者
辻 晶子
出版者
中世文学会
雑誌
中世文学 (ISSN:05782376)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.83-90, 2013
著者
辻 晶子
出版者
奈良女子大学
雑誌
叙説 (ISSN:0386359X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.215-226, 2011-03-31