著者
吉田 光司 金澤 弓子 鈴木 貢次郎 根本 正之
出版者
日本雑草防除研究会
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.63-70, 2009 (Released:2011-03-05)

ナガミヒナゲシが国内で急速に帰化している原因を、実験によって求めた種子発芽特性から考察した。野外の播種実験の結果、6月の種子散布後、散布当年の秋季と翌春に多くの出芽をみた。次に室内で、異なる温度と水分条件に貯蔵した種子を定期的に取り出す発芽試験を行った。その結果、(1)種子を湿潤・暖温条件に2〜3ヶ月間貯蔵してから5℃で発芽させた場合、(2)湿潤・暖温条件に3ヶ月間貯蔵した後に湿潤・冷温条件に半月〜1ヶ月間貯蔵してから10〜20℃で発芽させた場合、(3)30℃/10℃の変温条件で発芽させた場合に高い発芽率を示した。これらの野外と室内の発芽実験の結果から、自然環境条件では夏季の暖温湿潤条件を経て地温が低くなる秋季と、冬季の冷温を経て地温が上昇する春季に多く発芽することが確かめられた。また、高温や室温の乾燥条件に約3年間貯蔵した種子や、暗条件ではほとんど発芽しなかったことから、土中では埋土種子となって長期間残ることが予測された。試験から得られたナガミヒナゲシの発芽条件から国内の分布を説明できた。また、同種が多く分布している国内外の地域の年平均気温と年間降水量は一致した。
著者
富樫 均 酒井 潤一 公文 富士夫
出版者
長野県自然保護研究所
巻号頁・発行日
vol.2, pp.33-41, 1999 (Released:2011-03-05)

飯綱火山南東麓に位置する逆谷地湿原において堆積物の採取と分析をおこなった.逆谷地湿原は標高約934メートル,面積約4ヘクタールのミズゴケ湿原である.湿原内でのボーリングにより,約13mの厚さの湿原堆積物を採取し,堆積物の記載をおこなった.堆積物は大部分が連続する泥炭層からなり,泥炭層中には多数の薄い火山灰層が狭在する.この試料について,14C年代測定と火山灰層の対比をおこなった.その結果,広域火山灰層である阿蘇4火山灰(Aso-4)ならびに大山倉吉火山灰(DKP)が確認され,泥灰層の堆積の開始は約10万年前にまでさかのぼることが明らかになった.10万年の寿命をもつ生きている湿原の存在は非常にめずらしいものであり,この湿原に記録されている環境変遷史と生態系の成り立ちを明らかにするために,さらに詳細な分析が予定されている.
著者
富樫 均 内田 克 楠元 鉄也
出版者
長野県自然保護研究所
巻号頁・発行日
vol.2, pp.99-108, 1999 (Released:2011-03-05)

湿原の環境変遷史の解読を目的とした研究にとって,サンプリング計画の策定は基本的かつ重要な課題である.飯綱火山南東麓に位置する逆谷地湿原において,厚さ約13mにおよぶ泥炭層のサンプリングを行った.サンプリングには水圧式シンウォールサンプラーを用い,事前に弾性波探査によって掘削位置を選定した.本稿はサンプリング計画とその実際についての事例報告である.
著者
富樫 均 田中 義文 興津 昌宏
出版者
長野県自然保護研究所
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-16, 2004 (Released:2011-01-21)

長野市飯綱高原に位置する逆谷地湿原で得られたボーリングコアを試料として、完新世の堆積物の花粉分析、微粒炭分析、14C年代測定を行い、里山の環境変遷を考察した。その結果によれば、飯綱高原においては、約3000年前の縄文時代の後期から火入れをともなう人間活動が活発になり、森林植生への影響が顕著になった。また、約700年前の中世の時代には森林破壊が極大期に達し、森林が減少し草地が拡大した。その後、約400年前以降の近世になって火入れ行為が抑制され、森林が回復し、アカマツ林やスギ林が拡大した。このような人と自然の関わりと変遷の歴史は、現代の里山問題の前史と位置づけられ、里山という場への新たな認識をあたえるものである。
著者
細川 宗孝
出版者
京都大学農学部附属農場
巻号頁・発行日
no.23, pp.7-12, 2014 (Released:2015-06-24)
著者
今治 安弥 上田 正文 和口 美明 田中 正臣 上松 明日香 糟谷 信彦 池田 武文
出版者
日本森林学会
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.141-146, 2013 (Released:2014-02-21)

タケが侵入したスギ・ヒノキ人工林の衰退・枯死原因を検討するため,水分生理的な観点から調査した。モウソウチクあるいはマダケと木-竹混交林となったタケ侵入林に生育するスギ・ヒノキのシュートの日中の水ポテンシャル(ψw mid)は,タケ未侵入林に生育するスギ・ヒノキよりも低くなる傾向があった。タケ類のψw midは,スギ・ヒノキよりも著しく低い値を示したが,モウソウチクのシュートの夜明け前の水ポテンシャル(ψw pd)はほぼ0となり,夜間の積極的な水吸収を示唆した。さらに,すべての調査地でタケ類の根密度はスギあるいはヒノキよりも5~14倍程度高かった。タケ侵入林のスギでは,ψw midはシュートの細胞が圧ポテンシャルを失うときの水ポテンシャルと同程度の値を示した。これらの結果は,タケ侵入林に生育するスギ・ヒノキは,地下部の競争によってタケ未侵入林のスギ・ヒノキよりも水不足状態になることがあり,それらの中には,シュートの細胞が圧ポテンシャルを失うほど厳しい水不足状態に陥っている場合があることを示唆した。
著者
國久 美由紀 松元 哲 吹野 伸子
出版者
農業技術研究機構野菜茶業研究所
巻号頁・発行日
no.4, pp.71-76, 2005 (Released:2011-03-05)

野菜茶業研究所で開発したイチゴ品種識別用CAPSマーカーのうち9マーカーを用いて,市場で流通していた韓国産輸入イチゴ5パックの品種識別を行った。本試験の目的は,開発した識別技術が長期の流通期間を経て鮮度の低下した果実サンプルに適用できるか確認すること,および韓国からの輸入イチゴ品種の実態を調査し,‘さちのか’に関する育成者権の侵害が起こっていないか確認することであった。分析の結果,著しく鮮度の低下したサンプルでも品種の特定は可能であった。また,分析した5パックのうち4パックは‘さちのか’と‘レッドパール’の混合であり,全71果実のうち27個が‘さちのか’で,種苗法に違反している疑いが極めて強かった。また3パックは‘女峰’と表示され店頭で販売されていたことから,品種の不正表示も示唆された。
著者
下川 利之
出版者
岡山県林業試験場
巻号頁・発行日
no.5, pp.31-39, 1985 (Released:2015-04-17)
著者
岸 茂樹
出版者
日本生態学会暫定事務局
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.61-64, 2015 (Released:2015-07-06)

アレンの法則とは、恒温動物の種内および近縁種間において高緯度ほど体の突出部が小さくなる傾向をいう。アレンは北アメリカのノウサギ属を例にこの仮説を提唱した。しかしこの例を含めてアレンの法則は検証例が少ない。そこで本研究ではアレンの法則が書かれた原典からノウサギ属Lepusのデータを抜き出しアレンの法則がみられるか検証した。その結果、相対耳長と緯度には有意な相関はみられなかった。相対後脚長、および体長と緯度には正の相関がみられた。したがって、アレンが記録した北アメリカのノウサギ属にはアレンの法則はみられず、むしろベルクマンの法則がみられることがわかった。相対耳長と緯度に負の相関がみられなかった主な原因は、低緯度地域にも耳の短い種が生息することである。耳の長さには緯度以外にも生活様式や生息場所が大きく影響するためと考えられる。
著者
森 美津雄 藤井 亮吏
出版者
岐阜県河川環境研究所
巻号頁・発行日
no.57, pp.11-14, 2012 (Released:2013-10-08)

カジカの種苗生産におけるふ化から約1ヶ月間にわたる海水飼育時の初期減耗率は、当研究所では30~100%とバラツキが大きく、計画生産を図る上で大きな障害となっている。初期飼育の減耗要因としては、卵質、飼餌料、水質等種々の要因が考えられる。カジカ仔魚期の給餌量に関する検討は不十分であり、給餌量の過不足による減耗の可能性も考えられる。カジカのふ化仔魚の初期餌料にはアルテミア幼生を用いているが、その給餌量は飼育用水中のアルテミア幼生密度等を目安に経験則的に加減しているのが現状である。そこで、カジカの初期飼育における適正給餌量の検討資料を得ることを目的に、ふ化後の飼育経過にともなう日間摂餌量の変化を明らかにするため、餌付け開始3日目、11日目及び22日目のカジカ仔魚の日間アルテミア幼生摂餌量について検討した。また、アルテミア幼生の1個体湿重量を測定し、カジカ仔魚期の日間摂餌率の算出を試みた。
著者
田中 穂積
出版者
日本酪農科学会
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.177-182, 2009 (Released:2011-03-28)