著者
伊藤 秀一 小川 杏美 平田 彩夏 岡本 智伸
出版者
東海大学農学部
巻号頁・発行日
vol.31, pp.21-29, 2012 (Released:2013-10-08)

動物園の飼育環境は,野生環境と比較すると刺激が乏しいことから,動物が異常行動を発現するなどの問題が指摘されている。近年の動物園では野生環境の再現を行う生態的展示と呼ばれる管理法の導入が試みられている。しかしこの管理法では,動物が陰に入ってしまい,動物を目にする機会が極端に減少してしまう可能性があることから,動物園への来園者が"動物体を見る"ことに重点をおいている場合は,動物園の利用が減少する可能性が考えられる。そこで本研究では,動物園来園者が動物園に求めていることを知るために,動物飼育と遊園地等の複合施設においてアンケート調査を行った。調査項目は(1)来園者の属性に関する項目(2)動物園の利用頻度についての項目(3)来園の目的に関する項目(4)来園者が動物園に求めている内容に関する項目とした。5日間の来園者数は9548人で,アンケートの回収数は972人だった。解析の結果,動物の飼育環境を野生に近づけて動物体が見にくくなる環境に関して,見える方が良いという回答と見えにくくても良いという回答はほぼ同数だった。また,動物への好みに関しては,"珍しいが寝ている動物"よりも,"どの動物園にもいるが活発に動く動物"を見たいという回答が多かった。
著者
萩野 恭子 堀口 健雄 高野 義人 松岡 裕美
出版者
日本プランクトン学会
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.73-80, 2011 (Released:2012-12-03)
著者
藤原 隆広 吉岡 宏 熊倉 裕史
出版者
園芸学会
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.169-173, 2002 (Released:2011-03-05)

キャベツセル成型苗の育苗後期に、徒長抑制と順化を目的にNaCl処理を行う場合の処理濃度、処理開始時期および処理回数が苗質に及ぼす影響を調査した。1)NaCl濃度が高くなるほど、生育抑制効果は高く、NaCl濃度を1回処理で1.6%、5回処理で0.4%とすることで、草丈を対照区の80%程度に抑制することができた。2)5回処理区では、NaCl処理によって地上部の乾物率が高くなった。3)NaCl処理濃度が高くなるほど苗体内のNa含有率は増加した。4)NaCl処理による定植後の生育への影響は小さかった。5)苗の耐干性を評価するために断水処理を行った結果、苗の生存率は、NaCl処理によって大きく向上し、1回処理よりも5回処理で高かった。以上の結果、草丈20%減少を目的にNaCl処理を行う場合、液肥へのNaCl添加量は0.4%が好ましく、処理回数を1回とする場合は1.6%程度の濃度とすることで、0.4%を5回行った場合に準ずる苗質改善効果が得られることが明らかとなった。
著者
川路 則友 東條 一史 松岡 茂 高野 肇 北原 英治
出版者
森林総合研究所
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.271-350, 2003 (Released:2011-03-05)

森林総合研究所に所蔵してある数多くの鳥獣類標本のうち、仮剥製鳥類標本4,790点について、リストを作成、公表する。これら標本は、おもに1920年代から1930年代にかけて、当時の農林省鳥獣調査室によって収集されたものである。標本には、おもに渡り期に全国の灯台から収集された衝死鳥や千島列島からの収集品などが含まれる。
著者
井鷺 裕司
出版者
日本生態学会暫定事務局
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.89-95, 2010 (Released:2011-03-28)

タケ類の生活史は、長期間にわたる栄養繁殖と、その後の一斉開花枯死で特徴づけられる。タケ類に関しては、地下茎の形態と稈の発生様式、開花周期と同調性、開花後の株の振舞いなどにいくつかのパターンが知られており、それぞれの特徴をもたらした究極要因や至近要因が解析・考察されてきた。しかしながら、タケ群落で観察される繁殖生態上の特性は、種が本来的に持つ特徴というよりは、たまたまその地域に人為的に導入された系統の性質であったり、あるいは群落を構成するクローン数が極端に少ないという事に起因する可能性がある。また、タケ類は開花周期が長いため、世代交代時に働く選択のフィルターが機能する頻度も低く、人為による移植の影響や移植個体群の遺伝的性質が長期間にわたって維持される可能性も高い。本論では、単軸分枝する地下茎を持つマダケ属(Phyllostachys)とササ属(Sasa)、仮軸分枝する地下茎を持つBambusa arnhemicaの事例をとりあげ、群落の遺伝的多様性の多寡と開花同調性の有無に基づいて、開花現象を4つのタイプにわけ、タケ類の繁殖生態研究で留意すべき点を考察した。
著者
中野 明正 安 東赫
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.85, no.11, pp.1071-1079, 2010 (Released:2011-05-27)
著者
伊藤隆二 櫛渕欽也 池橋宏 中根晃 東正昭 谷口晋
巻号頁・発行日
no.21, pp.79-91, 1974 (Released:2011-09-30)
著者
鄒 金蘭 四方 康行 今井 辰也
出版者
富民協会
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.262-268, 2008 (Released:2011-07-26)
著者
上田 弘則 小山 信明
出版者
日本草地学会
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.255-260, 2007 (Released:2011-03-05)

放牧地のワラビ防除のためにアシュラム剤を散布すると、イノシシに掘り起こされることがある。このような掘り起こしは家畜の餌量を減少させ、雑草の侵入や定着を助長してしまうという問題がある。そこで、アシュラム剤散布と掘り起こしの因果関係を明らかにすると同時に、掘り起こしがワラビの根茎を目的としているのか、また根茎の貯蔵炭水化物含有量と関係があるのかについて野外試験を行った。2003年7月に野草地内のワラビが優占している場所にアシュラム剤散布区と無散布区を設定した。ワラビの地上部が枯死した9月にイノシシの掘り起こしが確認され、散布区で対照区よりも掘り起こし割合が高かった。また、イノシシはワラビの根茎を選択的に掘り起こしていたが、ワラビの根茎の貯蔵炭水化物含量率は散布区と対照区で差はみとめられなかった。
著者
小山 豊 山岸 淳 宍倉 豊光 深山 政治 武市 義雄
出版者
千葉県農業試験場
巻号頁・発行日
no.27, pp.169-183, 1986 (Released:2011-03-05)

オモダカの防除法確立のため,その生態的特性について検討を行った。1. 出芽特性 (1)塊茎には休眠性があり,休眠覚醒に対しては0℃の低温処理及び包皮除去処理の効果が認められた。(2)塊茎からの出芽深度は塊茎の大小により異なり,土中深い位置からの出芽歩合は塊茎が小さいほど低下した。1g以上の大きい塊茎は地表下20cmの深い層からも容易に出芽した。(3)土壌の還元程度が塊茎からの出芽に及ぼす影響は同じオモダカ科の中でも異なり,ウリカワに比べてオモダカは土壌の還元に対する適応力が大きかった。(4)塊茎は土壌水分が最大容水量の80%(対乾土60%)以上で出芽した。また,湛水深が15cmと深くても出芽は劣らず,水生雑草の特徴をよくあらわしている。2. 生育特性 (1)稲わらを施用した強還元条件でも生育はほとんど劣らず,塊茎形成量はかえって多くなった。(2)遮光処理により草丈,葉面積は大となったが,地上部乾物重は低下した。(3)本県産のオモダカには3種の種内変異が認められ,各々外観,出芽時期,塊茎形成量が異なった。(4)親塊茎の大小により生育及び塊茎形成量が異なった。生体重1gと2gとの間では明らかな差は認められなかったが,0.5g以下の小塊茎は他に比べ地上部生育量,塊茎形成量ともに少なかった。3. 塊茎形成に関する諸要因 (1)塊茎形成に入る時期の地上部の生育状態により塊茎形成数及び塊茎の大小,土中分布は著しく異なった。すなわち,地上部の生育量が大であるほど塊茎形成数,一個当り塊茎重量は大となり,形成される塊茎の土中分布も広い範囲にわたった。最高値は,塊茎形成数で180個/株,一個当り重量で1.7g,形成範囲は地表下30cmまで,水平距離で50cmまでであった。また,塊茎の重量は形成される深さが深いほど,株からの水平距離が遠いほど重くなった。(2)塊茎形成は短日処理により促進された。(3)遮光処理の時期・程度にかかわらず自然条件に比べ塊茎形成数が多くなり,ミズガヤツリ,クログワイと異なった反応を示した。
著者
本郷 次雄
出版者
日本きのこセンター菌蕈研究所
巻号頁・発行日
no.39, pp.28-31, 2002 (Released:2011-03-05)

Phaeocollybia lugubris(新称:アカアシナガタケ)およびRussula melliolens(新称:ヨヘイジモドキ)のハラタケ目の2種を日本新産種として報告した。
著者
三澤 知央
出版者
北海道立総合研究機構中央農業試験場
巻号頁・発行日
no.132, pp.1-90, 2012 (Released:2013-10-08)

ネギの出荷部位である中心葉に発生する黄色斑紋症状は,外観品質を著しく低下させるため,ネギ栽培上の重要な問題となっている。本症状はネギ葉枯病との関係が指摘されているものの,発生原因は未解明である。また,ネギ葉枯病に関する研究知見はこれまでほとんどない。そこで本研究では,黄色斑紋症状の発生原因の解明ならびに同症状およびネギ葉枯病の発生実態,発生生態および防除に関する研究を行なった。1. 発生実態と被害 2007年に全道のネギ主産地32圃場において葉枯病(従来から発生が知られている褐色楕円形病斑)および黄色斑紋症状の発生実態を調査した結果,いずれの圃場でも褐色楕円形病斑および黄色斑紋症状の発生が確認された。また,両病斑は明確に区分でき,両者の中間的な病徴を示す病斑は認めらなかった。黄色斑紋症状の発病度は3.1~61.3であり,本症状による被害が全道的に発生している実態が明らかとなった。また,褐色楕円形病斑は,葉身先端部に発生する先枯れ病斑と葉身中央部に発生する斑点病斑の2種類に類別されることおよび同病斑と黒斑病は病徴が酷似し,病徴観察では識別できないことが明らかとなった。両病害を病斑上に形成した分生子の顕微鏡観察により識別した結果,先枯れ病斑では100%,斑点病斑では98.3%の病斑で葉枯病菌が確認され,道内のネギに発生している褐色で楕円形の病斑のほぼすべてが葉枯病であることが明らかとなった。2005~2007年に実施した発生推移調査の結果,先枯れ病斑は収穫期までに大半の圃場で発病株率70%以上に達した。斑点病斑は,べと病,さび病,黒斑病が発生したあとに二次的に葉枯病菌が感染して発生し,なかでもべと病発生の影響が大きかった。黄色斑紋症状は平均気温15~20℃で曇雨天時に発生が増加し,9月どり作型において9月中旬~10月上旬にもっとも発生が多くなった。また,収穫時期が遅れるほど発生が増加した。黄色斑紋症状が褐色楕円形病斑に変化することはなかった。斑点病斑は主に外葉に発生するため出荷葉にまで発生することは稀であった。また,葉枯病菌の単独感染による同病斑の発生により収量が減少することはなかった。黄色斑紋症状は,第1~3葉に発生するため,発病の大半が出荷部位であり,発生が即被害につながった。同症状が出荷前後の保存中に増加することはなかった。2. 病原菌の同定と病原性 分離菌の完全世代は,黒色・球形でくちばしを有する偽子のう殻,無色・棍棒状・二重壁の子のう,その内部に長楕円形~スリッパ形・黄褐色で縦横に隔壁を有する子のう胞子を8個形成した。これらの形態的特徴より分離菌をPleospora sp. と同定した。不完全世代は,分生子柄および分生子を形成した。分生子柄は先端が膨潤し,貫生により再伸長し,その先端には分生子を単生した。分生子は縦横に石垣状に隔壁を有した。分生子が長方形~長楕円形,縦横比が1.8~1,9,1~3個の横隔壁でくびれた菌株をStemphylium vesicarium (Wallroth) Simmons,分生子が俵形,縦横比が1.4,中央の横隔壁でくびれた菌株をS. botryosum Wallrothと同定した。黄色斑紋症状および褐色楕円形病斑よりそれぞれ分離したS. vesicariumをネギ葉に接種したところ,いずれの菌株も中心葉には黄色斑紋症状,外葉には褐色楕円形病斑を形成し,接種菌が再分離され,黄色斑紋症状がネギ葉枯病の一病徴であることが明らかとなった。そのため,本症状を黄色斑紋病斑と呼称することを提案した。北海道内のネギ主要産地の23圃場から採取した罹病葉より褐色楕円形病斑由来21菌株,黄色斑紋病斑由来23菌株の合計44菌株を得,同定した結果,41菌株がS. vesicarium,3菌株がS. botryosumであり,前者が優占種であった。3. 葉枯病菌の諸性質 ネギ,ニラ,アスパラガスから分離したS. botryosumおよびネギから分離したS. vesicariumは,いずれもネギ,タマネギ,アスパラガスに病原性を示し,寄生性の分化は認められなかった。ネギ葉枯病菌S. vesicariumおよびS. botryosum の培地上における生育適温は25℃であった。分生子の形成適温はS. vesicariumが15℃,S. botryosumが20℃であった。子のう胞子の形成適温は,両種とも10℃であった。4. 葉枯病菌の感染・発病好適条件と伝染環 褐色楕円形病斑の発生好適温度は10~15℃で生育ステージと発生程度の間に明瞭な関係は認められなかった。一方,黄色斑紋病斑の発生好適温度は15~20℃で生育が進んだ株ほど発病が多くなる傾向があった。褐色楕円形病斑の形成には6時間以上の葉の濡れ時間が必要であり,6~48時間の間では濡れ時間の増加にともなって発病程度も増加した。ネギ葉枯病菌をポット栽培ネギの全葉に接種したところ,第1~4葉に黄色斑紋病斑,第4~7葉に褐色楕円形病斑を形成した。ネギ葉枯病菌は噴霧接種法では発病が認められず,病原性は極めて弱かった。圃場観察,胞子トラップ,病原菌の分離等の手法により,ネギ葉枯病菌S. vesicariumの伝染環を調査した結果,ネギの生育期間中である7月~10月中旬は褐色楕円形病斑上に多量の分生子を形成し,二次伝染を繰り返した。これが中心葉に感染すると黄色斑紋病斑を形成した。偽子のう殻の形成は生育期間の終盤あるいは収穫終了直後にあたる10月下旬に始まった。葉枯病菌は,罹病葉上のみならず外観健全葉上にも偽子のう殻を形成し,土壌表面および土壌中で越冬した。偽子のう殻からは翌春の3月中旬~6月上旬に子のう胞子が飛散し,これが本病の一次伝染源になっていると考えられた。本病の伝染環はネギ圃場内だけで完結していると推察された。5. 防除対策 10薬剤の葉枯病,べと病およびさび病に対する防除効果を明らかにした。シメコナゾール・マンゼブ水和剤(×600)は,斑点病斑および黄色斑紋病斑に対して防除価87以上の高い防除効果を示した。同剤は,べと病およびさび病に対しても92~100の高い防除価を示した。TPNフロアブル(×1000)は,斑点病斑に対して48~62,黄色斑紋病斑に対して63~79の防除価を示したが,べと病およびさび病に対する防除効果は低かった。アゾキシストロビンフロアブル(×2000)は,斑点病斑に対して78~85,黄色斑紋病斑に対して37~62の防除価を示した。また,同剤はべと病に対して75~82,さび病に対して99~100の防除価を示した。いずれの薬剤も先枯れ病斑に対する防除効果は認められなかった。その他の7薬剤も斑点病斑および黄色斑紋病斑に対して防除効果を示した。シメコナゾール・マンゼブ水和剤,TPNフロアブル,アゾキシストロビンフロアブルを用いて葉枯病,べと病およびさび病の発生を抑制できる薬剤散布体系を確立した。すなわち,8月どり作型では6月中旬,9月どり作型では7月上旬,10月どり作型では8月中旬からシメコナゾール・マンゼブ水和剤を2週間間隔で3回散布したのち,9月どり作型では収穫3~2週間前にTPNフロアブルを2回,収穫1週間前にアゾキシストロビンフロアブルを1回,10月どり作型では収穫3~2週間前にアゾキシストロビンフロアブルを2回散布する薬剤散布体系を構築した。ネギ品種間の黄色斑紋病斑の発病差異を検討し,「北の匠」および「元蔵」では発生が多く,「白羽一本太」では中程度であり,「秀雅」で発生が少ないことを明らかにした。また,窒素の過剰施用および土壌pHの低下が,黄色斑紋病斑の発生を助長することを明らかにした。以上のように,本研究ではネギの中心葉に発生する黄色斑紋症状の発生原因,病原菌の諸性質,発病好適条件,病原菌の伝染環を解明するとともに,薬剤散布および耕種的防除対策を確立した。
著者
古市 崇雄 池内 隆夫 大矢 啓三
出版者
香川県農業試験場
巻号頁・発行日
no.56, pp.43-49, 2003 (Released:2011-03-05)

1.「さぬきのめざめ」は香川県農業試験場で選抜した雌株「No.17」と雄株「No.16」との単交配による交雑品種であり、萌芽が極めて早く、若茎の開頭が遅く、収量性の高い品種である。2002年7月に種苗法に基づき、品種登録の出願をおこなった。2.「昭和58年度種苗特性分類調査報告書:アスパラガス」による特性分類では、植物体の草丈、茎の第1側枝高の高さはやや高い。収穫若茎は茎色がやや淡緑、茎のアントシアニンの発現がやや多く、茎数が多い。若茎頭部の色は緑、頭部のしまりは緊、開頭の早晩は晩である。低温要求性は低く、萌芽の早晩は極早生、越冬性と低温伸長性は高い。3.「さぬきのめざめ」における春芽の萌芽は「ウェルカム」や「メリーワシントン500W」に比べて施設栽培で1週間、露地栽培で2か月早い。品薄・高単価な12月下旬から収穫が可能で、収穫期間を通じて収穫物の外観品質が優れることから、春芽どりの増収や夏芽の秀品率向上が期待できる。
著者
吉田 光司 金澤 弓子 鈴木 貢次郎 根本 正之
出版者
日本雑草防除研究会
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.63-70, 2009 (Released:2011-03-05)

ナガミヒナゲシが国内で急速に帰化している原因を、実験によって求めた種子発芽特性から考察した。野外の播種実験の結果、6月の種子散布後、散布当年の秋季と翌春に多くの出芽をみた。次に室内で、異なる温度と水分条件に貯蔵した種子を定期的に取り出す発芽試験を行った。その結果、(1)種子を湿潤・暖温条件に2〜3ヶ月間貯蔵してから5℃で発芽させた場合、(2)湿潤・暖温条件に3ヶ月間貯蔵した後に湿潤・冷温条件に半月〜1ヶ月間貯蔵してから10〜20℃で発芽させた場合、(3)30℃/10℃の変温条件で発芽させた場合に高い発芽率を示した。これらの野外と室内の発芽実験の結果から、自然環境条件では夏季の暖温湿潤条件を経て地温が低くなる秋季と、冬季の冷温を経て地温が上昇する春季に多く発芽することが確かめられた。また、高温や室温の乾燥条件に約3年間貯蔵した種子や、暗条件ではほとんど発芽しなかったことから、土中では埋土種子となって長期間残ることが予測された。試験から得られたナガミヒナゲシの発芽条件から国内の分布を説明できた。また、同種が多く分布している国内外の地域の年平均気温と年間降水量は一致した。