著者
富樫 均 酒井 潤一 公文 富士夫
出版者
長野県自然保護研究所
巻号頁・発行日
vol.2, pp.33-41, 1999 (Released:2011-03-05)

飯綱火山南東麓に位置する逆谷地湿原において堆積物の採取と分析をおこなった.逆谷地湿原は標高約934メートル,面積約4ヘクタールのミズゴケ湿原である.湿原内でのボーリングにより,約13mの厚さの湿原堆積物を採取し,堆積物の記載をおこなった.堆積物は大部分が連続する泥炭層からなり,泥炭層中には多数の薄い火山灰層が狭在する.この試料について,14C年代測定と火山灰層の対比をおこなった.その結果,広域火山灰層である阿蘇4火山灰(Aso-4)ならびに大山倉吉火山灰(DKP)が確認され,泥灰層の堆積の開始は約10万年前にまでさかのぼることが明らかになった.10万年の寿命をもつ生きている湿原の存在は非常にめずらしいものであり,この湿原に記録されている環境変遷史と生態系の成り立ちを明らかにするために,さらに詳細な分析が予定されている.

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