著者
富樫 均 田中 義文 興津 昌宏
出版者
長野県自然保護研究所
雑誌
長野県自然保護研究所紀要 (ISSN:13440780)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-16, 2004
被引用文献数
1

長野市飯綱高原に位置する逆谷地湿原で得られたボーリングコアを試料として、完新世の堆積物の花粉分析、微粒炭分析、14C年代測定を行い、里山の環境変遷を考察した。その結果によれば、飯綱高原においては、約3000年前の縄文時代の後期から火入れをともなう人間活動が活発になり、森林植生への影響が顕著になった。また、約700年前の中世の時代には森林破壊が極大期に達し、森林が減少し草地が拡大した。その後、約400年前以降の近世になって火入れ行為が抑制され、森林が回復し、アカマツ林やスギ林が拡大した。このような人と自然の関わりと変遷の歴史は、現代の里山問題の前史と位置づけられ、里山という場への新たな認識をあたえるものである。
著者
前河 正昭 Huygens Oscar C. Carr Meghan M.
出版者
長野県自然保護研究所
雑誌
長野県自然保護研究所紀要 (ISSN:13440780)
巻号頁・発行日
no.3, pp.61-65, 2000
被引用文献数
1

1999年9月10日に長野市内でツキノワグマ1個体(メス、成獣)を捕獲、お仕置き、放獣し、ラジオテレメトリーによる行動圏調査を開始した。同年12月25日現在、最外郭法で求めた行動圏は2.86km2となり、標高460m~890mの中山間地域(里山地域)に限られていた。環境選好性はアカマツ群落、落葉果樹園で高く、カラマツ植林で低かった。なお、捕獲場所の果樹園は行動圏には含まれていなかった。
著者
富樫 均 内田 克 楠元 鉄也
出版者
長野県自然保護研究所
雑誌
長野県自然保護研究所紀要 (ISSN:13440780)
巻号頁・発行日
no.2, pp.99-108, 1999

湿原の環境変遷史の解読を目的とした研究にとって,サンプリング計画の策定は基本的かつ重要な課題である.飯綱火山南東麓に位置する逆谷地湿原において,厚さ約13mにおよぶ泥炭層のサンプリングを行った.サンプリングには水圧式シンウォールサンプラーを用い,事前に弾性波探査によって掘削位置を選定した.本稿はサンプリング計画とその実際についての事例報告である.
著者
富樫 均 田中 義文 興津 昌宏
出版者
長野県自然保護研究所
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-16, 2004 (Released:2011-01-21)

長野市飯綱高原に位置する逆谷地湿原で得られたボーリングコアを試料として、完新世の堆積物の花粉分析、微粒炭分析、14C年代測定を行い、里山の環境変遷を考察した。その結果によれば、飯綱高原においては、約3000年前の縄文時代の後期から火入れをともなう人間活動が活発になり、森林植生への影響が顕著になった。また、約700年前の中世の時代には森林破壊が極大期に達し、森林が減少し草地が拡大した。その後、約400年前以降の近世になって火入れ行為が抑制され、森林が回復し、アカマツ林やスギ林が拡大した。このような人と自然の関わりと変遷の歴史は、現代の里山問題の前史と位置づけられ、里山という場への新たな認識をあたえるものである。
著者
富樫 均 内田 克 楠元 鉄也
出版者
長野県自然保護研究所
巻号頁・発行日
vol.2, pp.99-108, 1999 (Released:2011-03-05)

湿原の環境変遷史の解読を目的とした研究にとって,サンプリング計画の策定は基本的かつ重要な課題である.飯綱火山南東麓に位置する逆谷地湿原において,厚さ約13mにおよぶ泥炭層のサンプリングを行った.サンプリングには水圧式シンウォールサンプラーを用い,事前に弾性波探査によって掘削位置を選定した.本稿はサンプリング計画とその実際についての事例報告である.
著者
富樫 均 酒井 潤一 公文 富士夫
出版者
長野県自然保護研究所
雑誌
長野県自然保護研究所紀要 (ISSN:13440780)
巻号頁・発行日
no.2, pp.33-41, 1999
被引用文献数
1

飯綱火山南東麓に位置する逆谷地湿原において堆積物の採取と分析をおこなった.逆谷地湿原は標高約934メートル,面積約4ヘクタールのミズゴケ湿原である.湿原内でのボーリングにより,約13mの厚さの湿原堆積物を採取し,堆積物の記載をおこなった.堆積物は大部分が連続する泥炭層からなり,泥炭層中には多数の薄い火山灰層が狭在する.この試料について,14C年代測定と火山灰層の対比をおこなった.その結果,広域火山灰層である阿蘇4火山灰(Aso-4)ならびに大山倉吉火山灰(DKP)が確認され,泥灰層の堆積の開始は約10万年前にまでさかのぼることが明らかになった.10万年の寿命をもつ生きている湿原の存在は非常にめずらしいものであり,この湿原に記録されている環境変遷史と生態系の成り立ちを明らかにするために,さらに詳細な分析が予定されている.
著者
富樫 均 酒井 潤一 公文 富士夫
出版者
長野県自然保護研究所
巻号頁・発行日
vol.2, pp.33-41, 1999 (Released:2011-03-05)

飯綱火山南東麓に位置する逆谷地湿原において堆積物の採取と分析をおこなった.逆谷地湿原は標高約934メートル,面積約4ヘクタールのミズゴケ湿原である.湿原内でのボーリングにより,約13mの厚さの湿原堆積物を採取し,堆積物の記載をおこなった.堆積物は大部分が連続する泥炭層からなり,泥炭層中には多数の薄い火山灰層が狭在する.この試料について,14C年代測定と火山灰層の対比をおこなった.その結果,広域火山灰層である阿蘇4火山灰(Aso-4)ならびに大山倉吉火山灰(DKP)が確認され,泥灰層の堆積の開始は約10万年前にまでさかのぼることが明らかになった.10万年の寿命をもつ生きている湿原の存在は非常にめずらしいものであり,この湿原に記録されている環境変遷史と生態系の成り立ちを明らかにするために,さらに詳細な分析が予定されている.
著者
浦山 佳恵
出版者
長野県自然保護研究所
雑誌
長野県自然保護研究所紀要 (ISSN:13440780)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.263-270, 2001

戸隠村のツキノワグマの分布変動とその要因、分布変動に伴う住民への被害・被害防除・狩猟と活用を検討することで、北信の地域構造の一端を明らかにした。戸隠村における1967年以降のツキノワグマの里への分布拡大と農業・人身・観光業への被害発生は、村の2つの流れと関連していることが分かった。一つは、1200m以上の山林が近世戸隠神社の神領で利用が制限されていたが、明治期以降国有林になり戦後営林署が大規模伐採、高度経済成長期は営林署・村がスキー場開発をする流れ、もう一つは戦後炭焼きと麻の栽培による住民の生業形態が戦後崩れ、新たな商品作物を模索するなか高度経済成長期以降観光業に活路を見出すという流れである。被害に対し、農家・観光業者は駆除や自己防除を行ってきたが、農業従事者の高齢化・観光業への影響を押さえる意図・戦後クマが生息するようになった地域で一般的に指摘される住民のクマへの過剰反応から、駆除に依存する傾向があった。一方クマ猟は狩猟技術の未熟さから狩期の捕獲数は少なく、商品化は未発達であった。こうした住民の対応は、観光業という要素を除けば、戦後新たにクマが出没する全地域にある程度共通するものと考えられた。
著者
堀田 昌伸
出版者
長野県自然保護研究所
雑誌
長野県自然保護研究所紀要 (ISSN:13440780)
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-12, 1999

日本におけるライチョウの生態学的な調査・研究,特に,彼らの個体数を推定する上で重要ななわばり数推定調査についてレビューした.なわばり数の推定は,主に個体の直接観察,糞などの生活痕跡,及び,植生や地形によっておこなわれた.その中で,植生や地形からなわばりを推定する問題点について指摘した.今後,ライチョウの保護・保全を行う場合に,より簡便なモニタリング調査が必要であることを述べた.
著者
大塚 孝一
出版者
長野県自然保護研究所
雑誌
長野県自然保護研究所紀要 = Bulletin of Nagano Nature Conservation Research Institute (ISSN:13440780)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-8, 2002-03 (Released:2011-03-05)

日本産ザゼンソウ属の3種、ザゼンソウ、ヒメザゼンソウ、ナベクラザゼンソウについて、主な植物標本庫の標本に基づいて分布図を表した。ナベクラザゼンソウは長野県産の標本に基づいて記載された新種であるが、今回の調査で、この種は東北地方から北陸地方にかけての日本海側の地域に分布することが明らかになった。