著者
大平 陽一 竹田 博之 佐々木 良治
出版者
日本作物學會
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.58-65, 2009 (Released:2011-03-05)

タンパク質変異米水稲品種の米粒内における種子貯蔵タンパク質の分布特性を明らかにするために、搗精歩合の異なる米粒のタンパク質含有量を調査し、米粒内の層別のタンパク質含有量と存在割合を算出した。タンパク質変異米水稲品種では、一般食用水稲品種「ニホンマサリ」と同様に、米粒の外層部である100〜>80%層に総タンパク質の44〜45%が存在した。一方、易消化性タンパク質は、いずれの品種も100〜>80%層に44〜48%が存在したが、「ニホンマサリ」では90〜>80%層に最も多く、タンパク質変異米水稲品種では100〜>90%層に最も多かった。タンパク質変異米水稲品種において易消化性タンパク質が最外層に多く集積する傾向は、低グルテリン米水稲品種より低グルテリン・26 kDaグロブリン欠失米水稲品種で顕著だった。「ニホンマサリ」では、主要な易消化性タンパク質である37-39 kDaグルテリンαと22-23 kDaグルテリンβが90〜>80%層に多く存在しているのに対し、タンパク質変異米水稲品種では、37-39 kDaグルテリンαや22-23 kDaグルテリンβの量が低下し、相対的に易消化性タンパク質に占める割合が高くなった57 kDa超過タンパク質と57 kDaタンパク質が100〜>90%層に最も多く存在していた。したがって、易消化性タンパク質の分布における品種間差異は、これらのタンパク質画分の分布特性の差異を反映したことによると推察された。易消化性タンパク質は、80〜>70%層を含む層よりも内層部ではより少ない割合でしか存在しなかったので、玄米から易消化性タンパク質を効率的に低減するには、80%程度の搗精歩合が望ましいと考えられた。

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タンパク質変異米水稲品種の米粒内における種子貯蔵タンパク質の分布

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