著者
木原 高治
出版者
東京農業大学
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.68-92, 2011 (Released:2012-12-06)

本稿では,地域社会における地方企業の役割や存立意義を明らかにするために,清酒製造業4社による地域活性化のための具体的な取り組みについて分析を行った。同族企業が多い地方企業の場合,その特徴として,有機的組織の積極面を生かした従業員志向の経営,顧客満足を目指した技術,販売,組織面でのイノベイティブな取り組みに見られる消費者志向の経営,株主への配慮を必要としない長期的な経営志向と地域社会への積極的な貢献意欲などをあげることができる。地方企業は地域社会との共生を基盤として共存共栄をしているが,そのガバナンスの基礎は地域社会を基礎とした多様な信頼関係に求めることができる。また,地方企業の諸活動は,地域社会の人々の生活実体を財やサービスの供給,雇用の受け入れ,地域貢献活動等の多様な側面から支えており,逆に地方企業は地域社会に存在している様々な資源や人間関係により支えられている。その相互のコミュニケーションを支える信頼関係の構築こそが,地域社会における地方企業の役割や存立意義につながるものである。

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最後の方で引用している 木原高治先生の「地方企業の地域社会における役割に関する一考察 -清酒製造業を事例にして-」 はマジで名作な論文でした。 これがなかったら僕の記事も書けなかったです。 地酒蔵と地域社会の関係に関心ある方はこちらもぜひ一読をオススメします。 https://t.co/binD0lNQXe

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