- 著者
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林 典子
井上 大成
- 出版者
- 森林総合研究所
- 巻号頁・発行日
- vol.13, no.4, pp.173-182, 2014 (Released:2015-03-30)
都市近郊において、造林地の管理状態によって、哺乳類の活動にどのような変化がみられるのかを明らかにするために、下層密度が異なる造林地および人工的にギャップを作成した地点に自動撮影カメラを設置し、けもの道として利用する哺乳類相の違いを定量評価した。下層密度が高い林分の方が、低い林分よりもけもの道として利用する在来哺乳類種の多様度は高かった。しかし、ハクビシン、アライグマ、イエネコなど外来生物においても、下層植生密度が高い地点を多く利用する傾向が見られた。また、人工ギャップを形成した時、下層が繁茂している林分では、ギャップを作成することによって、哺乳類の利用総数は周辺に比べて減少する傾向がみられたが、多様度はギャップの方が高い傾向が見られた。また、タヌキ、アナグマ、ハクビシンはギャップを通過する頻度がコントロールに比べて有意に低かったが、イノシシ、アカネズミでは有意な傾向は認められず、ノウサギではギャップの利用頻度がやや高かった。都市近郊造林地の下層植生を管理したり、小規模な人工ギャップを作成することによって、哺乳類の種ごとの行動に異なる影響が及ぶことが明らかになった。