著者
西山 嘉寛
出版者
岡山県農林水産総合センター森林研究所
巻号頁・発行日
no.32, pp.1-18, 2016 (Released:2017-05-17)

列状間伐後5~7年経過したヒノキ人工林32林分について,林床の下層植生量(木本類植生量,全植生量),植被率(木本類植被率,全植被率),植生高をそれぞれ目的変数,斜面勾配,伐開幅,残存幅,残存木の平均樹高,ササ類の有無を説明変数とし,数量化I類分析を行った結果,いずれも1%水準で有意な予測モデルを求めることができた。このモデルを用いて,列状間伐について,異なる伐採方法での全植被率,木本類植被率の推移をそれぞれ予測すると,ともに4残3伐が最も高い数値が得られたが,現状の伐採率を考慮すると,4残2伐(伐開幅約5.2m)が現実的であると想定された。一方で,2残1伐の場合は,全植被率及び木本類植被率は伐採幅が2伐以上の場合に比べ,明らかに低下していた。また斜面勾配が35度以上に達すると,全植被率及び木本類植被率とともに,急落傾向が認められたことから,このような斜面では,土留め工等の対策を講じる必要があると考えられる。岡山県北部一帯では,ササ類の定着が顕著なエリアとそうでないエリアに区分され,前者では,ササ類,後者では木本類の侵入・定着を基本とした下層植生の管理が第一と考えられる。下層に定着した木本類のうち,樹高が1.2m以上で,かつ高木層を形成する樹種は5種しか認められなかった。木本類の植被率を70%以上期待するためには,30本/m2,樹高1.2m以上の個体に限っては5本/m2程度それぞれ定着する必要があることことが示唆された。

言及状況

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列状間伐後5〜7年後のヒノキ林における下層植生量について多変量解析を行ったところ、斜面勾配の影響が大きく、急傾斜地では下層植生が少ない。高木性樹種の更新は少数。 西山2016 https://t.co/FsKYhduYyC #列状間伐 #下層植生 #ヒノキ林 #斜面勾配

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