著者
秋山 一男
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
日本医真菌学会雑誌 = Japanese journal of medical mycology (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.149-155, 2000-07-30
被引用文献数
1 6

ダニ,花粉,ペットとともに真菌は気管支喘息の原因アレルゲンとして重要な位置づけがなされているが,実地臨床の場での診断においては必ずしも容易ではない.原因アレルゲン確定のスクリーニングとして実施される皮膚テストにおける即時型陽性アレルゲンに対する血中IgE抗体の陽性頻度はダニ,花粉等に比べると低く,さらに粘膜アトピー反応検索の手段としての眼反応,吸入誘発反応の陽性頻度はさらに低い.最近はこれまでの屋外飛散真菌相のみならず屋内真菌のアレルゲンとしての意義についても検討されている.多数の抗原決定基を有する真菌の抗原分析により主要アレルゲンを決定することは容易ではない.我々は気管支喘息の原因アレルゲンとしてのヒト皮膚,粘膜常在真菌である<i>Candida albicans</i>(<i>C.alb</i>)が分泌する酸性プロテアーゼ(CAAP)及び細胞壁構成多糖体マンナン(Mn)のアレルゲンとしての役割を検討した.CAAPに対するIgE抗体陽性患者は<i>C.alb</i>による末梢血白血球ヒスタミン遊離反応,結膜誘発反応が陽性を示し,CAAPは<i>C.alb</i>による粘膜アトピー反応の重要なアレルゲンであることが示唆された.Mnは各種真菌アレルゲン間の交叉反応に関与するアレルゲンではあるが,粘膜アトピー反応への関与は少ない.一方,<i>C.alb</i>に対するIgG抗体は,Mnに対する抗体と考えられる.難治性喘息と非難治性喘息では各種<i>C.alb</i>関連抗原へのIgG抗体価には差はなかった.人体常在真菌である<i>C.alb</i>は内因型喘息の病態機序に関わる可能性が示唆されている.

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