- 著者
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星野 晴彦
高木 誠
土谷 治久
高木 康行
- 出版者
- The Japan Stroke Society
- 雑誌
- 脳卒中 (ISSN:09120726)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, no.5, pp.480-488, 1998-10-25
- 被引用文献数
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1年間に入院した急性期のアテローム血栓性脳梗塞28例,ラクナ梗塞57例,心原性脳塞栓25例,分類不能の脳梗塞11例,脳出血31例を対象に,初期治療までに要した時間を検討した.睡眠中発症例は25例(16.4%)あり,アテローム血栓性脳梗塞とラクナ梗塞で多かった.発症からCT撮影までの平均時間は,心原性脳塞栓症が2.06時間,脳出血が6.84時間,アテローム血栓性脳梗塞が20.78時間,ラクナ梗塞が38.69時間であった.CT撮影までに要した時間は,救急車で来院,救急外来を受診,他院受診せずに直接来院,臨床病型で心原性脳塞栓症と脳出血が有意に早かった.発症3時間以内にCT撮影が終了しているものは36例(23.7%)あり,心原性脳塞栓症が15例(60.0%),脳出血が15例(48.4%),ラクナ梗塞5例(9.1%)であった.しかし,抗血栓療法が開始されたのは発症3時間以内は1例もなく,6時間以内でもラクナ梗塞の2例と心原性脳塞栓症1例にすぎなかった.早期初期治療のためには,脳血管障害が疑われたならば救急車を呼ぶことの啓蒙と,来院後の早期治療開始の院内のシステム作りが必要と考えられた.