著者
内山 真一郎
出版者
The Japan Stroke Society
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.575-579, 2009

CHADS<sub>2</sub> Score is used for the risk stratification and treatment recommendation in patients with non-valvular atrial fibrillation (NVAF). NVAF patients with CHADS<sub>2</sub> Score ≥2 are at high stroke risk and recommended warfarin for stroke prevention. Those with CHADS<sub>2</sub> Score 1 are recommended aspirin or warfarin. However, according to the results of the Japanese Atrial Fibrillation Stroke Trial (JAST), aspirin did not reduce stroke risk and tended to increase bleeding risk in low-risk NVAF patients. Therefore, warfarin is recommended even in those with CHADS<sub>2</sub> Score 1. The Birmingham Atrial Fibrillation Treatment of the Aged (BAFTA) Study showed that incidence of ischemic stroke was much lower in warfarin (INR 2–3) group than in aspirin group and incidence of hemorrhagic stroke was similar between both groups among elderly NVAF patients. The results of BAFTA indicated that warfarin is recommended even in elderly NVAF patients.<br>Efficacy of antiplatelet therapy for primary stroke prevention has not established in patients with asymptomatic brain infarction, carotid disease, or vascular risk factors alone. Thus, we conducted the Japanese Primary Prevention Project with Aspirin in the Elderly with One or More Risk Factors of Vascular Events (JPPP), a large randomized trial of aspirin for primary prevention of vascular events including stroke. However, there is a possibility that a risk reduction of vascular events is less than an increase of bleeding risk in primary prevention. Then, we conducted the Management of Aspirin-Induced Gastro-Intestinal Complications (MAGIC), a multi-center cooperative observational study on endoscopical investigation of gastrointestinal complications with aspirin in patients with vascular diseases including stroke.
著者
中洲 庸子 竹市 康裕 五十棲 孝裕 半田 譲二
出版者
The Japan Stroke Society
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.315-320, 1991

症例は64歳女性.右動眼神経麻痺の精査のため入院後, 意識を消失し倒れているところを発見された.意識障害と右上肢の不全麻痺は数時間以内に消失した.CTでは後頭蓋窩と左側頭頭頂部に硬膜下血腫を認めたが, くも膜下出血はなかった.脳血管撮影で, 両側の内頚動脈一後交通動脈分岐部 (IG-PC) に嚢状動脈瘤を, 左側頭葉に脳動静脈異常 (AVM) を認めた.出血源の同定が困難であったため, 最も出血の危険性が高いと考えられた右IC-PC動脈瘤から根治術を行い, 二期的に左IG-PC動脈瘤, 左AVMの順に手術を行ったところ, 何れも明らかな出血の痕跡を証明できなかった.<BR>破裂脳動脈瘤は, 時に急性硬膜下血腫を形成することが知られている.実際には, 本症例のように脳動脈瘤が直接硬膜下腔に出血したものか, 外傷が原因の硬膜下血腫であったのかを診断することは, 必ずしも容易でないことがある.出血源となりうる病変を複数かかえた症例では, 出血源の同定が困難であれば血管撮影の詳細な検討を行い, 再出血の起こる可能性の最も高いものから順に根治術を施行するべきであろう.
著者
辻 一郎
出版者
The Japan Stroke Society
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.344-348, 2002

Based on the currently available evidence, we estimated cost-effectiveness of brain check-up with MRI/ MRA to diagnose and treat asymptomatic unruptured cerebral aneurysm.<BR>In this simulation analysis using a medical decision analysis model, we estimated costs and effectiveness under two different strategies ; one is asymptomatic 100, 000 Japanese population, aged mid-50's, receive brain check-up (Screen group), and another is nobody receive brain check-up (No Screen group). Costs included those for brain check-up (JPY 30, 000), diagnostic work-up (JPY 200, 000), treatment of unruptured aneurysm (JPY 2, 000, 000), treatment of ruptured aneurysm (JPY 4, 000, 000), and for long-term care ranging from JPY 1, 000, 000 to 5, 000, 000 per year according to the severity of disability. Effectiveness of brain check-up, in this analysis, was defined as the gain of life-years of survival, which is calculated as the difference of total life-years between the Screen group and the No Screen group.<BR>Based on the currently available evidence in Japan, we assumed the prevalence of asymptomatic unruptured aneurysm in the Japanese population aged mid-50's as 5%, sensitivity of brain check-up as 87%, its specificity as 92%. Likewise, we estimated the distribution of aneurysm size and the probability of spontaneous rupture according to the size, and the life and functional prognosis of the cases (see Text).<BR>The results indicated that mortality from subarachnoid hemorrhage would be decreased in the Screen group by about 80% than in the No Screen group. The cost for saving the life of one case with asymptomatic unruptured aneurysm was estimated to be JPY 74.4 × 10<SUP>6</SUP>, and the cost for one life-year suvival was estimated to be JPY 2.4×10<SUP>6</SUP>.
著者
端 和夫
出版者
The Japan Stroke Society
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.786-788, 2008-09-25
参考文献数
17
被引用文献数
1 2
著者
白井 慎一 水戸 泰紀 小松 博史 矢部 一郎 佐々木 秀直
出版者
The Japan Stroke Society
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.408-412, 2011
被引用文献数
1

症例は17歳女性,既往に特記すべきことなし.2009年8月中旬,突然の右片麻痺が出現し,救急搬送された.初診時,中等度構音障害と右片麻痺あり,NIHSSスコアは11であった.MRI拡散強調画像で左レンズ核部に高信号域を,MRAにて左MCAのM1近位部の途絶を認めた.最終未発症確認時間後2時間52分にrt-PA療法を施行.使用直前のNIHSSスコアは12であったが,90分後には0に改善し,静注120分後のMRAで左M1再開通を確認した.第7病日に経食道心エコーで二次口欠損型の心房中隔欠損症を認め,発症1カ月後に開胸下で閉鎖術を施行した.その後,軽度の右上肢筋力低下を認めるのみで,日常生活動作は自立し,学業に復帰した.未成年発症例におけるrt-PA療法は報告症例数が少ないが,本例のように血栓溶解療法が奏功する場合もあるので,未成年発症例においてもrt-PA療法を治療の選択肢として考慮すべきである.
著者
和泉 雄一 青山 典生
出版者
The Japan Stroke Society
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.374-377, 2014

要旨:歯周病は,歯肉,歯根膜,セメント質および歯槽骨で構成される歯周組織の破壊を伴う炎症性疾患である.日本人の約70%に何らかの歯周病の症状が認められている.従来,血液疾患,発育異常,代謝異常や感染症などの全身疾患が歯周組織の状態を悪化させると考えられていた.しかし近年,口腔と全身との関連性が科学的に追求されたことにより,歯周病が循環器疾患,糖尿病,呼吸器疾患,早産・低体重児出産などに深く関わっていることも報告されている.特に,歯周病患者は健康な人と比較して,冠動脈疾患による死亡,心筋梗塞,脳卒中のリスクが高いことが報告されている.歯周病により血中のCRP 増加やアテローム形成の亢進が認められていることから,これらが歯周病と脳卒中などの循環器疾患を結びつけている可能性がある.
著者
飯塚 高浩 神田 直 稲福 徹也 畑 隆志 坂井 文彦
出版者
The Japan Stroke Society
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.239-243, 1994

降圧薬の投与開始後短期間のうちに発症した脳梗塞について検討した.対象は降圧薬の服用開始後1ヵ月以内に発症した脳梗塞9例であり, 年齢は48歳から83歳, 平均66.7±10.5歳である.服用開始後発症までの期間は, 5例が7日未満であり, 平均10.1±8.6日.基礎疾患は高血圧に加え, 4例で糖尿病, 1例で心房細動を認めた.1例を除き全例初回発作であった.降圧薬の種類はCa拮抗薬が8例と最も多く, うち4例はβ遮断薬, ACE阻害薬など2種以上の降圧薬を初回より併用し, 1例は3剤同時開始例であった.また1例は単剤ではあるが高齢者に対して初回より常用最上限が投与され翌日の発症であった.責任病巣は, 放線冠など穿通枝領域が6例と最も多く, 皮質枝領域が2例, 境界領域が1例であった.機能予後は, 7例は独歩, 2例は車椅子であった.降圧薬の投与に際しては, 投与量に留意し, 原則として, 単剤, 少量から開始すべきであると考える.
著者
桂 研一郎 須田 智 戸田 諭補 金丸 拓也 太田 成男 片山 泰朗
出版者
The Japan Stroke Society
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.147-149, 2014

要旨:近年,急性期血栓溶解療法,機械的血栓除去術などにより急性期再灌流療法の進歩は著しい.しかしながらその恩恵を受けられるのは限られた患者であり,依然としてより効果のある脳保護療法の登場がまたれている.我々が今回紹介するのは新しい観点からの脳保護療法の試みである.第一は治療効果が高い脳保護的な蛋白質に,蛋白細胞導入ドメインを融合させることにより,静脈内への1 回投与で神経細胞にまで到達させ脳保護的に働かせる方法である.次に全く新しい方法として,低濃度の水素ガスを吸入させると,脳梗塞体積が減少する結果を報告してきた.水素ガスには軽微なフリーラジカルスカベンジ作用があり,最も毒性の強いhydroxyl radical を選択的に消去することがわかってきている.さらに,すでに臨床で使用されている薬物を脳梗塞急性期治療に応用する方法として,抗てんかん薬であるバルプロ酸の急性期脳保護効果についても紹介する.
著者
端 和夫 児玉 南海雄 福内 靖男 田中 隆一 齋藤 勇 吉峰 俊樹 小林 祥泰 永廣 信治 佐渡島 省三 峰松 一夫 山口 武典 篠原 幸人
出版者
The Japan Stroke Society
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1-11, 2010-01-25
被引用文献数
4 7

我が国における脳梗塞rt-PA静注療法の保険適用承認には,承認への要望の段階から日本脳卒中学会の医療向上委員会が緊密に関与してきた.適正使用講習会を実施することを前提として承認された後も,欧米諸国にも前例のない全国的な都道府県レベルでの適正使用講習会を実施し,rt-PA静注療法の実施担当者等を指導してきた.承認後3年間で講習会は189回,受講者は1万人を超え,結果として,約1万5千例の使用例のうち,非適応例への使用頻度は6% 程度に抑えられている.承認と講習会開催の過程と,3年を経過した時点での普及の現状を記載した.
著者
星野 晴彦 高木 誠 土谷 治久 高木 康行
出版者
The Japan Stroke Society
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.480-488, 1998-10-25
被引用文献数
2 1

1年間に入院した急性期のアテローム血栓性脳梗塞28例,ラクナ梗塞57例,心原性脳塞栓25例,分類不能の脳梗塞11例,脳出血31例を対象に,初期治療までに要した時間を検討した.睡眠中発症例は25例(16.4%)あり,アテローム血栓性脳梗塞とラクナ梗塞で多かった.発症からCT撮影までの平均時間は,心原性脳塞栓症が2.06時間,脳出血が6.84時間,アテローム血栓性脳梗塞が20.78時間,ラクナ梗塞が38.69時間であった.CT撮影までに要した時間は,救急車で来院,救急外来を受診,他院受診せずに直接来院,臨床病型で心原性脳塞栓症と脳出血が有意に早かった.発症3時間以内にCT撮影が終了しているものは36例(23.7%)あり,心原性脳塞栓症が15例(60.0%),脳出血が15例(48.4%),ラクナ梗塞5例(9.1%)であった.しかし,抗血栓療法が開始されたのは発症3時間以内は1例もなく,6時間以内でもラクナ梗塞の2例と心原性脳塞栓症1例にすぎなかった.早期初期治療のためには,脳血管障害が疑われたならば救急車を呼ぶことの啓蒙と,来院後の早期治療開始の院内のシステム作りが必要と考えられた.
著者
峰松 一夫 矢坂 正弘 米原 敏郎 西野 晶子 鈴木 明文 岡田 久 鴨打 正浩
出版者
The Japan Stroke Society
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.331-339, 2004-06-25
被引用文献数
9 5

【目的】若年者脳血管障害の頻度や臨床的特徴を明らかにする.<BR>【方法】統一形式の調査票を用い,1998年と1999年の2年間に入院した発症7日以内の51歳以上の脳卒中症例の概略と,1995年から1999年までに入院した発症1カ月以内の50歳未満の脳卒中症例の詳細を全国18施設で後ろ向きに調査した.<BR>【結果】合計7,245症例のデータが集積された.発症1週間以内入院の全脳卒中に占める若年者脳卒中の割合(調査期間補正後)は,50歳以下で8.9%,45歳以下で4.2%,40歳以下で2.2%であった.背景因子を51歳以上(非若年群)と50歳以下(若年群)で比較すると,高血圧(62.7%vs.48.5%),糖尿病(21.7%vs.13.6%),高コレステロール血症(16.5%vs.13.1%)及び非弁膜性心房細動の占める割合(21.2%vs.4.7%)は非若年群の方が高く(各p<0.01),男性(58.9%vs.62.8%),喫煙者(19.3%vs.27.3%)と卵円孔開存例(0.7vs.1.2%)は若年群で多かった(各々p<0.01,p<0.01,p=0.08).TIAの頻度に差は無かったが,脳梗塞(62.6%vs.36.7%)は非若年群で,脳出血(20.8%vs.32.1%)とくも膜下出血(7.3%vs.26.1%)は若年群で高かった(各p<0.01).若年群の原因疾患として動脈解離,Willis動脈輪閉塞症,脳動静脈奇形,抗リン脂質抗体症候群などが目立ったが,凝固系の検査や塞栓源の検索は必ずしも十分ではなかった.外科的治療は37.5%で,退院時の抗血栓療法は31.9%で施行された.退院時転帰は26.0%で要介助,死亡率は8.8%であった.<BR>【結論】全脳卒中に占める若年者脳卒中の割合は低く,その背景因子は非若年者のそれと大きく異なる.若年者脳卒中への対策の確立のためには,全国規模のデータバンクを構築し,適切な診断方法や治療方法を明らかにする必要がある.