著者
林 隆 市山 高志 西河 美希 古川 漸
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF CHILD NEUROLOGY
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.339-345, 1998-07-01
参考文献数
12
被引用文献数
1

未熟児出生, 新生児仮死による痙性両麻痺児に認めた鏡像書字について, 神経心理学的, 画像診断学的に検討し発症機序について考察した. 右側優位の麻痺による左利き状態を右手使いに矯正する過程で鏡像書字は増悪した. 神経心理学的には利き手の矯正中にWPPSIでVIQ86, PIQ74, TIQ76と境界域の知能レベルで視覚認知の弱さが窺えた.もともと左手を使用していたこと, 視覚的に鏡像が自覚出来たこと, MRI上左頭頂葉白質に虚血性搬痕病変を認めたことより, 鏡像書字の原因として空間方向性の障害を考えた. Frostig視知覚発達検査では, 検査IVの空間位置関係の得点が利き手の矯正により低下し矯正をやめると速やかに戻った. 利き手の矯正による感覚運動刺激が視覚認知機能に影響を与える可能性を示唆している.

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