著者
落合 清茂 田切 美智雄 田中 久雄
出版者
資源地質学会
雑誌
資源地質 (ISSN:09182454)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.291-300, 1993-08-31
参考文献数
20
被引用文献数
1

釜石鉱山の日峰鉱床と新山鉱床におけるスカルン帯のスカルン,およびザクロ石と単斜輝石について,コンドライトで規格した希土類元素(REE)パターンを示し,スカルン帯の生成過程でのREEのの挙動を解析した.スカルン帯は閃緑岩類と石灰岩との間に発達し,全岩のREEは閃緑岩側から石灰岩へと減少する.スカルンのREEは閃緑岩類に由来し,熱水溶液からの供給はほとんどなかったものと考えられる,単斜輝石は負のEu異常を示し,その大きさは閃緑岩側から石灰岩へと増大する.ザクロ石のEu異常は正まあたは負と大きく変動する.鉱物のEu<SUP>+2</SUP>/Eu<SUP>+3</SUP>比を決める主な要因は酸素フュガシティー(fo<SUB>2</SUB>)であり,単斜輝石の負のEu異常はfo<SUB>2</SUB>の減少と共に大きくなり,ザクロ石はEu<SUP>+3</SUP>をEu<SUP>+2</SUP>よりも優先的に取り込む.熱水溶液のfo<SUB>2</SUB>は石墨を含む石灰岩との交代反応により次第に減少した.ザクロ石のEu異常の大きな変化は,高いfo<SUB>2</SUB>をもった初生の熱水溶液と低いfo<SUB>2</SUB>の石灰岩との反応によって生じたfo<SUB>2</SUB>の変動の反映である.

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